老朽化した一戸建てでも売却できる?
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老朽化した一戸建てを所有している方から、「こんなに古い家でも売れるのか」「解体しないと売却できないのではないか」というご相談をいただくことがあります。
結論から申し上げると、老朽化した一戸建てでも売却は可能です。
ただし、通常の中古戸建てと同じ考え方で売却しようとすると、価格設定や契約条件、買主への説明方法を誤ってしまう可能性があります。
老朽化した一戸建ての売却では、「建物として売るのか」「古家付き土地として売るのか」「解体して更地にするのか」「不動産会社に買取してもらうのか」を、物件ごとに慎重に見極めることが大切です。
特に築年数が古い建物では、雨漏り、シロアリ被害、建物の傾き、給排水管の劣化、基礎や外壁のひび割れ、越境、再建築の可否など、確認すべきポイントが多くなります。
売れるかどうかだけでなく、売却後にトラブルを残さない形で売ることが重要です。
老朽化した一戸建てが売却できる理由
老朽化した一戸建てであっても、買主側にとって価値があるケースは少なくありません。
たとえば、建物をリフォームして住みたい方、DIYを前提に安く購入したい方、建物を解体して新築用地として利用したい方、賃貸用や投資用として検討する方など、買主の目的はさまざまです。
また、建物自体に大きな価値が見込めない場合でも、土地の立地、道路付け、面積、形状、日当たり、周辺環境に価値があれば売却できる可能性があります。
つまり、老朽化した一戸建ての売却では、「建物が古いから売れない」と判断するのではなく、「買主が何に価値を感じる物件なのか」を整理することが大切です。
売却方法は大きく4つある
老朽化した一戸建ての売却方法は、大きく分けると次の4つです。
1. 中古戸建てとして売却する
建物の状態が比較的良く、補修すれば居住できる場合は、中古戸建てとして売却できる可能性があります。
この場合、買主は建物を利用する前提で検討するため、雨漏り、シロアリ、傾き、設備の故障、給排水管の状態などが重要な判断材料になります。
築年数が古くても、過去に屋根・外壁・水回り・給湯器・配管などの修繕履歴がある場合は、買主にとって安心材料になります。
一方で、見た目だけを整えて不具合を隠すような販売方法はおすすめできません。
売却後のトラブルを避けるためには、分かっている不具合を事前に整理し、買主へ丁寧に説明することが重要です。
2. 古家付き土地として売却する
建物の老朽化が進んでおり、買主がそのまま住むことを想定しにくい場合は、「古家付き土地」として売却する方法があります。
古家付き土地とは、建物は残したまま、実質的には土地として評価して売却する方法です。
この方法のメリットは、売主が先に解体費用を負担しなくて済むことです。
また、買主側が建物の中を確認したうえで、リフォームするか、解体するかを判断できる点もメリットです。
一方で、建物の状態が悪すぎる場合や、残置物が多い場合は、買主から解体費相当額の値引きを求められることがあります。
古家付き土地として売る場合は、「建物に大きな価値を見込まない売却」であることを前提に、価格設定を行う必要があります。
3. 解体して更地で売却する
建物の傷みが激しく、倒壊リスクや近隣への影響が心配される場合は、解体して更地で売却する方法もあります。
更地にすると、買主は建物解体の手間を考えずに新築計画を立てやすくなります。
見た目の印象も良くなり、土地として検討しやすくなるため、買主層が広がることがあります。
ただし、解体には費用がかかります。
さらに、建物を解体すると固定資産税の住宅用地特例が外れる可能性があるため、売却までの期間が長引くと維持費負担が増える場合があります。
また、古い建物ではアスベスト調査や除去費用が問題になることもあります。
そのため、解体してから売るべきかどうかは、査定価格、解体費用、固定資産税、売却期間、買主の需要を総合的に判断する必要があります。
4. 不動産会社に買取してもらう
建物の状態が悪い場合や、早く現金化したい場合は、不動産会社による買取も選択肢になります。
買取の場合、一般の買主に向けて販売するより価格は低くなる傾向があります。
一方で、売却までの期間が短く、室内の片付けや建物の不具合について柔軟に相談できることがあります。
特に、雨漏り、シロアリ、建物の傾き、残置物、境界未確定、再建築に不安がある物件では、一般売却よりも買取の方が現実的な場合もあります。
ただし、買取価格だけを見て判断するのではなく、仲介で売った場合の想定価格、売却期間、解体費、測量費、契約条件を比較することが大切です。
老朽化した一戸建てで特に確認すべきポイント
老朽化した一戸建てを売却する際には、建物だけでなく土地や法令上の条件も確認する必要があります。
主な確認項目は次のとおりです。
・雨漏りの有無
・シロアリ被害の有無
・建物の傾き
・基礎や外壁のひび割れ
・給排水管の劣化
・設備の故障
・増築部分の有無
・建築確認や検査済証の有無
・前面道路が建築基準法上の道路かどうか
・再建築できる土地かどうか
・境界標の有無
・隣地との越境の有無
・擁壁や高低差の有無
・残置物の量
・アスベストの可能性
・空き家としての管理状態
特に重要なのは、再建築の可否です。
建物が古くても、建て替えが可能な土地であれば、土地としての需要が見込めます。
反対に、建築基準法上の道路に接していない場合や、接道条件を満たしていない場合は、再建築不可となる可能性があります。
再建築不可の場合、買主層が大きく限られるため、価格や売却方法を慎重に検討する必要があります。
契約不適合責任に注意する
老朽化した一戸建ての売却で特に注意したいのが、契約不適合責任です。
契約不適合責任とは、売却した不動産が契約内容に適合していなかった場合に、売主が責任を問われる可能性がある制度です。
たとえば、契約時に説明されていなかった雨漏り、シロアリ被害、給排水管の不具合、建物の重大な傾きなどが後から発覚すると、トラブルになることがあります。
老朽化した建物では、すべての不具合を完全に把握することは難しい場合もあります。
だからこそ、売主が知っている不具合を隠さず、物件状況報告書や付帯設備表に正確に記載することが重要です。
また、建物を「現況有姿」で売る場合でも、何を説明し、何を契約条件に入れるかによって安全性が変わります。
単に「古い家なので責任を負いません」とするだけでは不十分な場合があります。
建物の状態、売却価格、買主の理解、契約書の内容を整えたうえで売却することが大切です。
建物状況調査を活用する方法もある
老朽化した一戸建てでは、建物状況調査を活用する方法もあります。
建物状況調査とは、既存住宅状況調査技術者が、建物の基礎、外壁、屋根、雨漏りに関係する部分などについて、一定の基準に基づいて調査するものです。
売主にとっては、建物の状態を事前に把握できるメリットがあります。
買主にとっても、購入前に一定の情報を確認できるため、安心材料になります。
ただし、建物状況調査は建物全体のすべての不具合を保証するものではありません。
また、壁の内部や配管内部など、目視できない部分まですべて確認できるわけではありません。
そのため、調査をすれば絶対にトラブルが起きないというものではありませんが、老朽化した建物を丁寧に売却するうえでは有効な手段の一つです。
片付けや残置物はどこまで必要か
老朽化した一戸建てでは、室内に家具、家電、布団、衣類、仏壇、物置内の荷物などが残っているケースもあります。
一般の買主に向けて販売する場合は、室内を見学しやすい状態にしておくことが望ましいです。
荷物が多いと、建物の広さや状態が分かりにくくなり、買主の印象が悪くなることがあります。
一方で、古家付き土地や買取で売却する場合は、必ずしもすべてを片付けてから売る必要がない場合もあります。
ただし、残置物の撤去費用は買主の負担感につながるため、価格交渉の材料になることがあります。
売却前に片付けるべきか、売買代金から調整するべきか、買取条件に含めるべきかを事前に検討することが大切です。
空き家のまま放置するリスク
老朽化した一戸建てを空き家のまま放置すると、建物の劣化が進みやすくなります。
雨漏り、湿気、カビ、害虫、雑草、外壁や屋根材の落下、近隣からの苦情などが発生することがあります。
また、管理状態が悪い空き家は、行政から指導や勧告の対象となる可能性があります。
空き家は「使わないから問題ない」のではなく、所有している限り管理責任が残ります。
売却を検討している場合は、劣化が進みすぎる前に早めに方向性を決めることが大切です。
高く売ることよりも、安全に売ることが大切
老朽化した一戸建ての売却では、少しでも高く売りたいというお気持ちは当然です。
しかし、建物の状態に不安がある場合、価格だけを優先すると売却後のトラブルにつながることがあります。
大切なのは、建物の状態を正しく確認し、買主に必要な情報を伝えたうえで、納得感のある条件で売却することです。
老朽化した一戸建ては、物件ごとに最適な売り方が異なります。
中古戸建てとして売るべきか、古家付き土地として売るべきか、解体して売るべきか、買取を検討すべきか。
この判断を誤らないことが、結果的に安全で納得のいく売却につながります。
まとめ
老朽化した一戸建てでも、売却は可能です。
ただし、建物の状態、土地の条件、再建築の可否、境界、越境、残置物、アスベスト、契約不適合責任など、確認すべき点は多くあります。
古い建物だからといって、すぐに解体すればよいとは限りません。
反対に、解体せずに売ることで買主の検討幅が広がる場合もあります。
重要なのは、「この物件は誰にとって価値があるのか」を見極め、その買主に合わせた売却方法を選ぶことです。
老朽化した一戸建ての売却では、不動産価格だけでなく、建物・法令・契約・税金・解体費用まで含めて総合的に判断する必要があります。
不安な点がある場合は、売却前の段階で専門家に相談することをおすすめします。
よくある質問(Q&A)
Q1. 老朽化した一戸建てでも本当に売れますか?
はい、売却できる可能性はあります。
建物として利用できる場合は中古戸建てとして、建物の利用が難しい場合は古家付き土地や解体前提の土地として売却する方法があります。
重要なのは、建物の状態と土地の価値を分けて考えることです。
Q2. 売却前に解体した方がよいですか?
必ずしも解体した方がよいとは限りません。
解体すると見た目は良くなりますが、解体費用がかかり、固定資産税の負担が変わる可能性もあります。
また、買主によっては建物をリフォームして使いたい場合もあります。
解体するかどうかは、査定価格、解体費、売却期間、買主需要を比較して判断する必要があります。
Q3. 雨漏りやシロアリ被害があっても売れますか?
売却できる可能性はあります。
ただし、雨漏りやシロアリ被害を知っている場合は、買主へ説明する必要があります。
隠して売却すると、契約後にトラブルになる可能性があります。
不具合がある場合ほど、事前説明と契約条件の整理が重要です。
Q4. 建物が古い場合、契約不適合責任は免責にできますか?
売主と買主の合意により、契約条件として一定の取り決めをすることはあります。
ただし、何でも一律に免責にすれば安全というわけではありません。
売主が知っている不具合を説明しなかった場合などは、トラブルになる可能性があります。
物件状況報告書や契約書の内容を丁寧に整えることが大切です。
Q5. 片付けをしないまま売却できますか?
売却方法によっては可能です。
不動産会社の買取や、古家付き土地としての売却では、残置物がある状態でも相談できる場合があります。
ただし、残置物が多いと撤去費用分の価格交渉につながることがあります。
一般の買主に向けて販売する場合は、見学しやすい程度に片付けておく方が印象は良くなります。
Q6. 再建築できない土地でも売却できますか?
売却できる可能性はありますが、買主層は限られます。
再建築不可の場合、住宅ローンが使いにくくなったり、建て替えができなかったりするため、価格にも影響します。
この場合は、一般の住宅購入者だけでなく、投資家や隣地所有者、不動産会社の買取なども視野に入れて検討する必要があります。
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【本ブログ監修者】

★柴田祐介(しばた ゆうすけ)
1981年生まれ。群馬県出身。大学卒業後、異業種を経て、その後不動産会社で八王子・町田・川崎にて16年間勤務。
在職期間中の2年間で、建築・デザイン専門学校にて認定単位取得後卒業。
〖保有資格〗
宅地建物取引士、二級建築士、2級FP技能士、秘書検定2級、既存住宅状況調査技術者、相続アドバイザー2級。