八王子不動産売買専門の株式会社cocoro不動産の柴田のブログです。

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長期間換気していない空き家は建物に何が起こる?

「実家を相続したものの、半年以上ほとんど行っていない」

「窓を閉め切ったまま、数年間空き家になっている」

このようなご相談は、不動産売却の現場でも珍しくありません。

空き家について「誰も住んでいないのだから、むしろ建物は汚れないのでは?」と思われることがあります。

しかし、住宅は人が住まなくなり、長期間管理されなくなると、居住中とは異なる形で劣化が進むことがあります。

国土交通省も、長期間使用されていない住宅では不具合が発見されにくいため、傷みが早く進行する傾向があり、建物内部・外部の点検、通気・換気、通水、清掃などを定期的に行うことが重要だとしています。

ただし、ここで重要なのは、

「換気をしていないことだけで建物が壊れる」わけではない

という点です。

本当に問題なのは、湿気・結露・雨漏り・漏水などが発生した際に、

乾きにくい
↓
発見されない
↓
補修されない
↓
劣化が長期間進行する

という状態になることです。

今回は、長期間換気されていない空き家の内部で何が起こるのかを、建物の構造まで含めて詳しく解説します。

1.まず起こりやすいのが「湿気の滞留」

閉め切った空き家で最初に注意したいのが湿気です。

住宅内部の湿度は、単純に「人が生活しているかどうか」だけで決まるものではありません。

外気から入ってくる水蒸気のほか、

・床下からの湿気
・雨漏り
・外壁からの雨水浸入
・給排水管からの漏水
・建物内部に残っている水分
・温度差による結露

など、さまざまな要因があります。

人が住んでいれば、窓を開けたり、換気扇を使用したり、エアコンを使用したりします。

また、雨漏りや水漏れ、カビ臭などの異常にも比較的早い段階で気付くことができます。

一方、空き家ではこうした機会がありません。

そのため、一度湿った場所が長期間乾かず、劣化につながることがあります。

2.押入れ・クローゼットは特に湿気がこもりやすい

空き家を確認すると、居室そのものより、

・押入れ
・クローゼット
・収納内部
・家具の裏側
・北側の部屋
・畳の下

などにカビが発生しているケースがあります。

これらは空気が動きにくい場所だからです。

東京都の空き家管理に関する案内でも、換気をするときには窓だけではなく、押入れやクローゼットなどの収納扉も開け、換気扇を一定時間運転する方法が紹介されています。

つまり、

「部屋の窓だけ開ければよい」

というわけではありません。

空気が滞留する場所まで動かすことが重要です。

3.壁紙にカビが発生する

湿度の高い状態が続くと、比較的早く変化が見えやすいのが壁や天井です。

代表的なのが、

・壁紙表面の黒ずみ
・カビ
・壁紙の浮き
・壁紙の剥がれ
・カビ臭

などです。

特に、

・家具の裏
・北側外壁に面した部分
・窓周辺
・収納内部

は注意が必要です。

問題は、表面を拭けば終わるケースばかりではないことです。

壁紙の裏側や石膏ボードまで湿気の影響を受けている場合、クロス張替えだけでは十分でないこともあります。

さらに壁内部まで水分が入り込んでいる場合には、断熱材や木材まで確認する必要があります。

4.畳がカビたり、変形したりする

和室がある空き家では畳にも注意が必要です。

畳は湿気の影響を受けやすいため、

・表面にカビが発生する
・変色する
・独特の臭いが出る
・膨らむ
・柔らかくなる

といった症状が出る場合があります。

国土交通省の資料でも、通風や通水などを行わず空き家を放置した例として、湿気の滞留による畳の膨張や壁紙のカビなどが挙げられています。

ただし、畳が沈む場合には注意が必要です。

単純な畳表の劣化ではなく、その下にある床板や根太などが腐朽しているケースもあるからです。

5.フローリングにも変形が起こることがある

木質系フローリングは湿度変化によって膨張・収縮します。

そのため湿気の状態によっては、

・床材の反り
・突き上げ
・隙間
・表面材の剥離
・床鳴り

などが発生することがあります。

特に注意したいのは、

「歩くと床がフワフワする」

という状態です。

これは表面のフローリングだけではなく、

・下地合板
・根太
・大引

など床組内部の劣化が原因になっている可能性もあります。

空き家を売却する際には、単に「床が古いですね」で済ませず、原因を確認することが重要です。

6.本当に怖いのは「見えない木材の腐朽」

木造住宅で特に注意したいのが、柱・土台・根太・大引など構造部分の木材です。

木材は適切に乾燥した状態であれば、すぐに腐るものではありません。

問題は、雨水や結露などによって木材の水分量が高い状態が長期間続くことです。

木造住宅の構造躯体に大きな影響を与える代表的な劣化要因として、腐朽菌とシロアリがあります。

国土交通省の資料でも、木造住宅の劣化について、水分の増加から腐朽や蟻害につながり、最終的に構造耐力が低下するというメカニズムが示されています。

つまり、

湿気が多い
↓
木材が乾きにくい
↓
腐朽菌が活動しやすい条件になる
↓
木材が腐朽する
↓
部材の強度が低下する

という可能性があります。

7.「カビ」と「木材腐朽」は同じではない

ここは非常に重要です。

室内にカビがあるからといって、

直ちに柱や土台が腐っているという意味ではありません。

カビと木材腐朽は別の現象です。

したがって、

「カビ臭いから建物はもうダメ」

と判断するのも早すぎます。

逆に、

「室内にカビがないから構造部分も問題ない」

とも限りません。

例えば、

・床下
・壁内部
・浴室周辺
・バルコニー下
・サッシ周辺
・配管周辺

など、普段見えない場所で雨水や水分の影響が進行している場合があります。

中古住宅では、表面だけで判断しないことが大切です。

8.湿気はシロアリ被害とも関係する

木造住宅ではシロアリも重要な確認項目です。

シロアリ被害は必ずしも「空き家だから発生する」というものではありません。

しかし、湿気の多い床下や腐朽した木材などは、建物の耐久性を考えるうえで注意すべき状態です。

国土交通省の資料でも、木造住宅について雨水・結露・地面からの湿気などに起因する木材腐朽や蟻害への対策が重要とされています。

特に、

・浴室周辺
・玄関周辺
・水回り
・土台
・床下
・雨漏り箇所

などは確認したいところです。

蟻道が確認された場合や床が大きく沈む場合などには、専門業者による調査を検討した方がよいでしょう。

9.雨漏りが発見されないことが空き家では大きな問題

実は空き家で怖いのは、換気不足そのもの以上に、

雨漏りなどの異常を誰も発見しないこと

です。

居住中であれば、

「天井にシミができた」

「雨の日だけ壁が濡れる」

「サッシの周りから水が入る」

など、比較的早く気付きます。

ところが空き家の場合、

屋根材が破損
↓
雨水が侵入
↓
天井裏が濡れる
↓
木材が湿る
↓
腐朽が進行
↓
数か月後に所有者が訪問

ということも起こり得ます。

このため、空き家管理では単なる換気だけではなく、

「建物に異常が起きていないか確認すること」

が非常に重要です。

特に台風、大雨、強風、地震の後は確認したいところです。

東京都も、大雨・台風・地震後の空き家点検を推奨しています。

10.排水口から臭いが上がってくることもある

長期間使用していない空き家に入った瞬間、

「下水のような臭いがする」

ことがあります。

原因の一つが、排水トラップの水切れです。

キッチン、洗面台、浴室、洗濯機排水口、トイレなどの排水設備には、下水管から臭いや害虫が上がってこないよう、水を溜める構造があります。

これが「封水」です。

ところが長期間水を使用しないと、封水が蒸発することがあります。

すると、

・下水臭
・害虫の侵入

などが発生しやすくなります。

国土交通省も、空き家を放置した場合の劣化例として「排水トラップの破封による悪臭や害虫の侵入」を挙げています。

そのため、空き家管理では換気だけでなく通水も重要です。

11.水道は「止めておけば安心」とも限らない

空き家になったとき、

「水道をまったく使わなければ設備は傷まない」

と思われることがあります。

しかし、給排水設備についても定期的な確認が必要です。

長期間使用していないと、

・排水トラップの封水切れ
・パッキン類の劣化
・バルブ類の固着
・給排水管の不具合に気付かない

などの問題が考えられます。

水道が使用できる状態なら、東京都の空き家管理例では、水を一定時間流したうえで各排水口にも水を流し、防臭・防虫につなげる方法が示されています。

ただし冬季には凍結など別のリスクもあるため、建物の所在地や設備状況に応じた管理が必要です。

12.害虫・ネズミ・動物が侵入することもある

長期間人が出入りしない住宅では、

・ネズミ
・ハチ
・ゴキブリ
・その他の昆虫
・小動物

などが入り込むことがあります。

換気をしていないことが直接の原因というより、

人の出入りがなく、小さな破損や侵入口にも気付かないこと

が問題です。

例えば、

・換気口の破損
・屋根や軒裏の隙間
・網戸の破損
・基礎周辺の隙間

などです。

国土交通省も、管理されていない空き家について、害虫やネズミ、悪臭などの問題を指摘しています。

13.「空き家臭」が売却時の印象を大きく左右する

不動産売却という観点では、建物そのものの劣化だけではありません。

内覧で玄関を開けた瞬間、

「カビ臭い」
「空気が重い」
「下水臭がする」

という状態だと、購入希望者の印象はかなり悪くなります。

実際には大きな構造上の問題がなくても、

「かなり傷んでいる家なのでは?」

と感じられてしまう可能性があります。

購入希望者は建築の専門家とは限りません。

第一印象によって建物全体への不安が大きくなることがあります。

そのため売却前には、

・換気
・通水
・簡易清掃
・排水口の確認
・雨漏り確認
・カビ確認
・床の状態確認
・異臭の確認

などを行っておくことが非常に重要です。

14.換気すれば既に発生した劣化が直るわけではない

ここも注意が必要です。

長期間放置していた空き家で、

「とりあえず窓を開けておけば元に戻る」

わけではありません。

換気によって室内の湿気を外へ逃がすことはできますが、

既に発生した、

・雨漏り
・木材腐朽
・シロアリ被害
・床下地の劣化
・大量のカビ
・配管不具合

などが換気だけで直るわけではありません。

まず原因を確認する必要があります。

15.では、空き家はどのように換気すればいい?

定期的に訪問できる場合には、建物全体に空気を通します。

例えば、

・複数方向の窓を開ける
・室内ドアを開ける
・押入れを開ける
・クローゼットを開ける
・シューズボックスを開ける
・換気扇を作動させる

といった方法です。

1か所だけ窓を開けるよりも、入口と出口を作り、空気の通り道を作る方が効果的です。

東京都の空き家管理例でも、全ての窓と収納扉を開け、換気扇を60分程度運転する方法が紹介されています。

ただし、雨天時や非常に湿度の高い日に無理に窓を開放すると、かえって湿った外気を室内に取り込むことがあります。

「窓を開けること」そのものを目的にするのではなく、

建物内部を乾燥しやすい状態にする

という考え方が重要です。

16.空き家管理では「換気・通水・点検」をセットで考える

空き家管理というと、換気だけに目が向きがちですが、実際にはそれだけでは不十分です。

最低限確認したいのは、

①換気
②通水
③雨漏り
④床の沈み
⑤カビ・異臭
⑥外壁・屋根
⑦雨樋
⑧庭木・雑草
⑨害虫・動物
⑩郵便物

などです。

つまり、

空き家管理=建物に異常が起きていないか定期的に確認すること

と考えた方がよいでしょう。

17.長期間放置した空き家を売却するときは「まず現状確認」

数年間ほとんど訪問していなかった空き家を売却する場合、

いきなり大規模なリフォームをする必要はありません。

まず、

現在どの程度傷んでいるのか

を確認することが先です。

例えば、

・多少カビがあるだけ
・クロス交換程度
・畳交換が必要
・床下まで傷んでいる
・雨漏りがある
・シロアリ被害がある

では、売却方法がまったく違います。

状態によっては、

「修繕して一般の買主へ売却する」

方法もありますし、

「現況のまま売却する」

方法もあります。

建物状態がかなり悪ければ、土地としての売却や不動産会社による買取を検討した方が合理的な場合もあります。

18.売却前に高額なリフォームをする必要はない

空き家所有者から、

「売る前に全部きれいにした方がいいですか?」

と聞かれることがあります。

必ずしもそうではありません。

例えば数百万円かけてリフォームしても、

その費用がそのまま売却価格へ上乗せできるとは限りません。

特に築年数が経過した戸建てでは、

買主が購入後に自分好みのリフォームをするケースもあります。

そのため、

修繕するべきところ
と
そのまま売却した方がよいところ

を分けて考えることが重要です。

19.長期間換気していないだけで「建物価値ゼロ」ではない

ここも誤解されやすいところです。

「5年間空き家だった」

というだけで、その住宅に建物価値がないと決まるわけではありません。

重要なのは、

空き家だった期間ではなく、現在の建物状態です。

同じ5年間の空き家でも、

定期管理されていた住宅と、

雨漏りを何年間も放置していた住宅では、

状態はまったく違います。

築年数だけでも、空き家期間だけでも判断できません。

20.管理されていない空き家は行政上の問題になることも

空き家の劣化が進み、

・外壁や屋根の落下
・倒壊のおそれ
・衛生上の問題
・周辺環境への悪影響

などが生じると、所有者だけの問題ではなくなることがあります。

2023年の空家法改正により、従来の「特定空家」になる前の段階についても「管理不全空家」として指導等の対象となる制度が設けられました。

市区町村から勧告を受けた場合には、住宅用地に対する固定資産税等の特例措置から外れる場合があります。

したがって、

「使っていないから何もしなくてよい」

という考え方は避けた方がよいでしょう。

まとめ|空き家は「換気していないこと」より「異常に気付かないこと」が怖い

長期間換気していない空き家では、

・湿気の滞留
・カビ
・壁紙の劣化
・畳の劣化
・床材の変形
・木材腐朽
・シロアリ被害
・排水トラップの封水切れ
・悪臭
・害虫や動物の侵入

などが発生する可能性があります。

ただし、

空き家=必ず劣化している
換気していない=必ず腐っている

ということではありません。

最も重要なのは、

今、その建物がどのような状態になっているのか確認することです。

特に長期間訪問していない空き家であれば、売却を決めていなくても、一度状態を確認しておくことをおすすめします。

雨漏りなどは、早く発見できれば比較的小さな補修で済むことがあります。

反対に、何年間も発見されずに放置すると、仕上げ材だけではなく、柱・土台・床組など構造部分まで修繕が必要になる可能性があります。

空き家は、

「売ると決めてから管理する」のではなく、「どうするか決まるまで管理する」

ことが大切です。

八王子市内に空き家やご実家を所有されている方で、

「しばらく見に行っていない」

「建物が傷んでいないか心配」

「このまま所有するか、売却した方がいいのか迷っている」

という場合には、まず現在の建物状況を確認したうえで、今後の方針を考えていくことをおすすめします。

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★監修

柴田祐介(しばた ゆうすけ)1981年生まれ。
大手不動産会社にて八王子・町田・新百合ヶ丘など多摩地区を中心に約17年間、不動産売買に携わる。

宅地建物取引士、二級建築士、2級FP技能士、相続アドバイザー二級、秘書検定2級、既存住宅状況調査技術者

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