城山手のような計画的住宅地と昔からの住宅地は何が違う?
POST:

八王子市内で土地や戸建住宅を見ていると、同じ「住宅地」であっても、街によって道路の形、土地の大きさ、建物の並び方、擁壁、生垣、道路との高低差などがかなり違うことに気付くことがあります。
その違いを理解するうえで分かりやすい例のひとつが、八王子市城山手です。
城山手は、東京都の環境アセスメント資料でも「八王子第一生命住宅『城山手』建設事業」として記録されており、昭和62年(1987年)に着工予定、平成8年(1996年)に工事完了とされています。つまり、既存の道路沿いに少しずつ住宅が建っていった地域というより、一定の範囲をまとめて住宅地として整備していった経緯を持つ地域です。東京都環境局
一方、八王子市内には、江戸時代・明治時代から続く集落や農地、昔の街道などを基礎として、長い年月をかけて住宅地へ変化してきた場所も数多くあります。
では、こうした「計画的に造られた住宅地」と「昔からの住宅地」では、不動産として何が違うのでしょうか。
売却、購入、建替えという視点から見ると、実はかなり大きな違いがあります。
■計画的住宅地とは何か
計画的住宅地とは、ある程度まとまった土地について、道路、公園、宅地、排水施設などをあらかじめ計画し、その計画に基づいて整備された住宅地です。
すべての住宅地が同じ方法で造られているわけではなく、
・土地区画整理事業
・大規模な開発許可による宅地造成
・民間事業者による住宅団地開発
・ニュータウン開発
など、成立した仕組みには違いがあります。
重要なのは、「住宅が建つ前に街全体の骨格がある程度計画されている」という点です。
城山手地区について八王子市が公表している地区計画図を見ると、約29haの区域について、「戸建住宅地区」「サービス施設地区」「タウンハウス地区」「沿道地区」などに区分されています。八王子市公式サイト
つまり、単に住宅が集まっているだけではなく、街全体として土地利用の考え方が整理されている住宅地なのです。
■違い① 道路の造られ方が違う
計画的住宅地と昔からの住宅地で、最も分かりやすい違いのひとつが「道路」です。
城山手のような計画住宅地では、住宅地を造る段階で、
住宅地への入口
幹線となる道路
住宅地内部の道路
歩行者動線
公園
などを考えて配置します。
そのため比較的道路幅員が揃い、区画も整理されている傾向があります。
一方、昔からの住宅地では事情が違います。
もともとは農道だった道、集落内の生活道路、昔から家と家の間を通っていた道などを、その後道路として使用しているケースがあります。
そのため八王子市内の古い住宅地を調査すると、
「道路幅員が4m未満」
「セットバックが必要」
「建築基準法上の道路なのか確認が必要」
「位置指定道路」
「私道持分が存在する」
「道路と敷地の境界がはっきりしない」
といった問題が出てくることがあります。
これは昔の住宅地が悪いという話ではありません。
街が形成された時代が違うためです。
現在の建築基準法や都市計画制度が整備されるより前から土地利用が存在していれば、現代の基準から見ると複雑に見える土地が存在するのは自然なことです。
■違い② 土地の形や大きさが比較的揃っている
計画的住宅地では、宅地造成をするときに住宅を建てやすいように敷地を分割します。
そのため、
間口
奥行き
土地面積
道路との接し方
などが比較的整った土地が多くなります。
東京都が過去に公表した城山手二丁目の地価調査鑑定評価書でも、周辺について「中規模住宅が建ち並ぶ区画整然とした住宅地域」とされています。東京都財務局
これは計画住宅地の特徴をよく表しています。
反対に昔からの住宅地では、
旗竿地
不整形地
非常に奥行きの長い土地
間口の狭い土地
道路に斜めに接している土地
なども珍しくありません。
昔の土地は、必ずしも「住宅を建てやすい形」に分けられているわけではないからです。
農地として利用されていた土地であれば、農作業に適した形状が優先されていた可能性もあります。
相続による分筆を何度も繰り返している土地もあります。
その結果、現在の住宅用地として見ると、少し変わった形になっていることがあります。
■違い③ 境界の考え方にも差が出やすい
不動産売却では非常に重要なポイントです。
比較的新しい計画住宅地の場合、宅地造成時に土地を区画し、道路や宅地を整備しています。
そのため造成時の測量図や境界標などが残っているケースも比較的多くあります。
一方、古くから所有されてきた土地では、
昔の石杭
古いコンクリート杭
ブロック塀
生垣
水路
などを境として利用している場合があります。
しかし、
「ブロック塀の中心が境界なのか」
「塀の外側が境界なのか」
「昔からここを境だと思っていた」
という話だけでは、現在の土地境界を法的・測量上確定できない場合があります。
売却時には、
登記簿
公図
地積測量図
道路台帳
過去の測量資料
現地の境界標
などを確認する必要があります。
計画住宅地であっても当然確認は必要ですが、昔からの住宅地ほど「土地の歴史を調査する」という意味合いが強くなることがあります。
■違い④ 地区計画など独自ルールがあることがある
ここは非常に重要です。
「きれいに整った住宅地だから自由に建替えできる」
とは限りません。
むしろ計画的住宅地では、良好な住環境を維持するため、通常の用途地域による規制に加えて「地区計画」が設定されている場合があります。
八王子市は地区計画について、用途地域が全国的な規制であるのに対し、地区ごとの特性に応じて住みよい街をつくる制度と説明しています。八王子市公式サイト
地区計画では、
建物の用途
敷地面積の最低限度
壁面の位置
建物の高さ
外観や意匠
垣や柵の構造
などを定めることができます。八王子市公式サイト
城山手にも地区計画が定められています。
八王子市の公表資料では城山手地区の面積は約29haとされ、戸建住宅地区など複数の地区に分類されています。八王子市公式サイト
さらに地区計画資料を見ると、壁面の位置や垣・柵などについて具体的な制限が設定されている部分があります。八王子市公式サイト
これが、計画住宅地特有の整った街並みにつながります。
■なぜ城山手は街並みに統一感があるのか
住宅地を歩くと、何となく
「ゆったりしている」
「建物が道路ぎりぎりまで迫っていない」
「緑が多い」
「住宅同士の間隔がある」
と感じる住宅地があります。
これは偶然とは限りません。
地区計画などによって、
敷地を細かく分割しすぎない
建物を道路境界ぎりぎりに建てない
ブロック塀ばかりにしない
などのルールを設ければ、街全体として空間に余裕が生まれます。
八王子市の地区計画制度でも、敷地面積の最低限度については狭小宅地の発生を防止するため、壁面位置の制限については道路や隣地への圧迫感を軽減するための制度として説明されています。八王子市公式サイト
したがって、
「なんとなくきれいな住宅地」
という印象の裏には、都市計画上の仕組みが存在している場合があります。
■違い⑤ 土地を細かく分けられるとは限らない
ここは売却査定で特に重要です。
例えば200㎡の土地があったとします。
単純に考えると、
「100㎡ずつに分けて2区画で売ればいいのでは?」
と思うかもしれません。
しかし地区計画などで「最低敷地面積」が設定されていれば、自由に分割できない場合があります。
これは売却価格にも影響します。
不動産会社が土地を査定するときには、
その土地を1区画として販売するのか
2区画に分割できるのか
建売住宅用地として利用できるのか
という点を考えます。
つまり同じ200㎡でも、
2区画に分割できる土地
と
1区画としてしか利用できない土地
では、購入を検討する不動産会社や建売業者の事業計画が変わる可能性があります。
計画住宅地の売却では、面積だけを見るのではなく、地区計画まで確認する必要があります。
■違い⑥ 擁壁や造成についての考え方
八王子市で不動産を扱う場合、高低差は避けて通れません。
市内には丘陵地が多く、住宅地にも擁壁が数多く存在します。
計画住宅地では、大規模な造成工事によって住宅地全体の道路や宅地を整備している場合があります。
そのため、
造成時期
開発許可
造成図面
擁壁図面
などの資料が確認できることがあります。
一方、昔からの住宅地では、
いつ造られた擁壁なのか分からない
大谷石擁壁
石積み擁壁
増し積み擁壁
二段擁壁
などが存在することがあります。
昔は適法に造られたものでも、現在の建築や造成基準から見ると確認が必要になるケースがあります。
したがって「計画住宅地だから擁壁は大丈夫」「古い住宅地だから擁壁は問題」という単純な判断はできません。
重要なのは、
どのような経緯で造成されたのか
どのような構造なのか
行政資料が残っているのか
を確認することです。
■違い⑦ インフラが一体的に整備されているケースが多い
計画住宅地では、
道路
水道
下水道
ガス
公園
などを街の開発とあわせて整備するケースがあります。
これに対して昔からの住宅地では、住宅が増えるたびにインフラが整備・更新されてきた地域もあります。
そのため古い住宅地では、
前面道路に水道本管はあるが引込管が古い
昔の13mm給水管が残っている
下水道の接続状況を確認する必要がある
私設管を経由している
といったケースもあります。
不動産売却では「道路に水道管があるか」だけではなく、
本管の口径
宅地への引込み
メーター口径
配管経路
などまで確認することがあります。
ここにも住宅地が形成された年代の違いが現れます。
■違い⑧ 建物の築年数が近くなりやすい
計画住宅地にはもうひとつ特徴があります。
街が同じ時期に開発されるため、住宅の築年数も近くなりやすいということです。
城山手の建設事業は東京都の資料上、昭和62年から平成8年までの事業として記録されています。東京都環境局
そのため現在では、当初建築された住宅について築30年前後を迎えているものもあります。
こうした住宅地では今後、
外壁・屋根の修繕
給湯器などの設備交換
水回り更新
相続
住替え
建替え
などが同じ時期に増えていく可能性があります。
これは城山手だけの話ではありません。
日本各地のニュータウンや大型分譲住宅地で起こる「住宅地の成熟」という現象です。
■昔からの住宅地には昔からの住宅地の強みがある
ここまで読むと、
「計画住宅地の方が良いのでは?」
と思われるかもしれません。
しかし、不動産はそれほど単純ではありません。
昔からの住宅地には、
駅に近い
商店街に近い
平坦地が多い
土地利用の自由度が比較的高い
昔からの生活利便施設が揃っている
などの魅力を持つ地域もあります。
八王子でいえば、西八王子駅周辺や八王子駅周辺などは、住宅だけを造る目的で開発された街ではありません。
商業、住宅、道路、学校などが長い時間をかけて形成されています。
そのため土地ごとの差が大きい一方、その「個別性」が不動産価値につながることもあります。
■計画住宅地は「土地」ではなく「街全体」を見る
城山手のような住宅地を査定するとき、私は土地面積や建物面積だけを見るのでは不十分だと考えています。
確認したいのは、
①用途地域
②建ぺい率・容積率
③地区計画
④道路幅員
⑤接道方向
⑥土地の高低差
⑦擁壁
⑧上下水道
⑨土地の形状
⑩周辺の街並み
などです。
特に計画住宅地の場合、「なぜこの街並みになっているのか」を調べることが重要です。
道路が広い理由。
土地が大きい理由。
生垣が多い理由。
建物が道路から離れて建っている理由。
それぞれに都市計画上の背景が存在することがあります。
■昔からの住宅地では「土地の履歴」を見る
一方、昔からの住宅地を査定するときには、
昔はどのような土地だったのか
道路はどのように成立したのか
いつ分筆されたのか
隣地との境界はどうなっているのか
水路や旧道が存在していないか
といった「土地の履歴」が重要になります。
登記簿だけでは分からないことも多いため、
公図
地積測量図
旧公図
道路資料
建築計画概要書
航空写真
などを組み合わせて調査することもあります。
不動産売却は、現在の建物だけを売る仕事ではありません。
その土地がどのように形成されてきたかを調べることも非常に重要です。
■城山手を売却するときに特に確認しておきたいこと
城山手で土地や戸建を売却する場合、「整った住宅地だから特に問題はない」と決めつけないことが重要です。
地区計画がありますので、まず対象地がどの地区区分に入っているか確認します。
さらに、
建替え時の建物用途
壁面後退
敷地面積
垣・柵
高さ
擁壁
道路との高低差
などを確認しておく必要があります。
八王子市も、地区計画のインターネット情報については概略位置を示す参考資料であり、正確な位置情報については都市計画課で確認するよう案内しています。八王子市公式サイト
不動産売却時には、インターネット上の情報だけで判断せず、必要に応じて行政窓口で確認することが重要です。
■まとめ|同じ八王子の住宅地でも「成り立ち」が違う
城山手のような計画的住宅地と、昔から形成されてきた住宅地。
見た目以上に大きな違いがあります。
計画住宅地では、街を造る段階で道路、宅地、公園、土地利用などが計画されているため、道路や土地形状、街並みに統一感が生まれやすくなります。
その一方で、地区計画などによって建替えや土地分割について独自のルールが設定されている場合があります。
昔からの住宅地では、道路や土地形状、境界などが複雑な場合がありますが、それぞれの土地の歴史や立地条件によって異なる特徴があります。
つまり、不動産の価値は、
「新しく整った住宅地だから高い」
「昔からの住宅地だから難しい」
という単純なものではありません。
重要なのは、
「その土地がどのように造られ、現在どのような法令・道路・造成・街づくりのルールの中にあるのか」
を正確に確認することです。
八王子市は面積が広く、城山手、めじろ台、みなみ野、七国のような計画的住宅地から、古くからの街道沿いや既成住宅地まで、土地の成り立ちが大きく異なります。
だからこそ、八王子で不動産を売却するときには、建物の築年数や土地面積だけではなく、その地域がどのように形成されたのかまで調べたうえで査定することが重要です。
参考資料
八王子市「地区計画とは」
八王子市公式ホームページ
八王子市「城山手地区地区計画」
城山手地区地区計画図・計画書
東京都環境局「八王子第一生命住宅『城山手』建設事業」
東京都環境局 環境アセスメント
★無料相談受付中|丁寧にご説明します!
八王子市で不動産の売却をご検討されている方は、株式会社cocoro不動産までお気軽にご相談ください。
大手の様な機械的な対応ではなく、お一人お一人に寄り添った提案を親身にさせて頂きます。
城山手をはじめ、八王子市内の土地・戸建について、道路、擁壁、境界、地区計画、建替え条件なども確認したうえで売却方法をご提案いたします。
お気軽にお問い合わせください!
★その他売却についてのよくあるご質問
★株式会社cocoro不動産のGoogle口コミはこちら
実際にご相談いただいたお客様の声は、Google口コミでもご確認いただけます。
★監修者プロフィール

柴田祐介(しばた ゆうすけ)
1981年生まれ。
大手不動産会社にて八王子・町田・新百合ヶ丘など多摩地区を中心に約17年間、不動産売買仲介に従事。
建築に関する知識も活かし、土地・戸建・マンションの売却だけでなく、道路、擁壁、境界、建築法規、相続など、不動産売買に関わる幅広い調査・相談に対応しています。
保有資格: 宅地建物取引士、二級建築士、2級FP技能士、相続アドバイザー二級、秘書検定2級、既存住宅状況調査技術者