八王子不動産売買専門の株式会社cocoro不動産の柴田のブログです。

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台町の住宅地はなぜ坂が多い?土地売却で注意したいポイント

八王子市台町を歩くと、同じ町内でも道路の高低差が大きく、坂道の多さを感じる場所があります。

特に富士森公園周辺や台町一丁目・二丁目の一部では、道路から宅地が高くなっていたり、反対に道路より宅地が低くなっていたり、隣接地との間に擁壁が設けられていたりする土地も少なくありません。

一方、台町三丁目・四丁目、西八王子駅に近い方向では比較的平坦な場所もあります。

つまり、「台町は坂が多い」というだけでは不動産の特徴を正しく捉えることはできません。

土地を売却するときには、

その土地がどのような地形にあり、どのように造成され、どのような高低差や擁壁が存在しているのか

まで確認することが重要です。

本記事では、八王子市台町の地形的な特徴から、坂のある土地を売却するときに確認しておきたいポイントまで詳しく解説します。

■そもそも八王子は起伏のある地形が多い

八王子市は、全体として平坦な土地ばかりではありません。

八王子市によると、市域の地形は大きく、

  • 山地
  • 丘陵
  • 台地
  • 低地

に分類されます。

市の中心部には浅川などによって形成された比較的低い土地があり、その周辺には丘陵や台地が広がっています。

また、八王子市の台地は河川によって形成された「河岸段丘」とされており、平坦な面と低地との境界では高低差が生じています。

つまり八王子では、

平らな面→斜面→低い土地

という地形が繰り返し現れやすく、それが住宅地の坂道にもつながっています。

■台町に坂が多い理由

台町は、八王子駅・西八王子駅周辺の市街地と、南側のより標高の高い住宅地との間に位置しています。

特に富士森公園周辺から南側へ向かうと地形が高くなるため、道路にも自然と勾配が生じます。

台町という地名自体も、この地域が周辺より高い「台」のような地形に位置していることと関係するとされています。

ただし、台町全体が同じ高さにあるわけではありません。

これが土地売却では非常に重要です。

■台町一丁目・二丁目と三丁目・四丁目では地形が違う

台町は一丁目から四丁目までありますが、地形条件は均一ではありません。

富士森公園周辺などには比較的大きな高低差がみられる一方、西八王子駅に近づくにつれて比較的平坦な場所もあります。

したがって、

「台町だから坂地」

あるいは逆に、

「台町だから地盤が良い台地」

と一括りに判断することはできません。

不動産査定では町名だけではなく、一つ一つの土地の標高、高低差、前面道路との関係、造成状況まで確認する必要があります。

■坂道そのものより重要なのは「敷地の高低差」

土地売却において重要なのは、前面道路が坂になっていることだけではありません。

むしろ確認すべきなのは、

道路・敷地・隣地の高低差

です。

例えば同じ坂道に面した土地でも、

A

道路と宅地がほぼ同じ高さ

B

道路より宅地が2m高い

C

道路より宅地が2m低い

D

隣地との間に3mの擁壁がある

では、土地の評価や建築条件が大きく変わる可能性があります。

■①道路より土地が高いケース

台町のような高低差のある住宅地では、道路から階段を上がって玄関へ入る住宅があります。

土地として見ると、

道路

擁壁

宅地

ではなく、

宅地
|擁壁
道路

という状態です。

このような土地の場合、まず確認したいのが擁壁です。

■②擁壁は「見た目」だけで判断してはいけない

擁壁とは、高低差のある土地で土砂が崩れないように土を支えている構造物です。

一般的には、

  • 鉄筋コンクリート擁壁
  • 間知石積み擁壁
  • 間知ブロック積み擁壁

などがあります。

問題になるのは、

その擁壁がいつ、どのような基準で造られたのか

です。

古い住宅地では、

「昔からあるので詳細が分からない」

というケースも珍しくありません。

■③擁壁の確認済証・検査済証を確認する

高さ2mを超える擁壁については、建築基準法に基づく工作物の確認申請が必要になる場合があります。

八王子市も、高さ2mを超える擁壁を新設する際には工作物確認を行い、工事完了後には検査を受ける必要があると案内しています。

また、市は、

確認済証・検査済証のない擁壁について、単に維持管理状態が良いという理由だけで安全な擁壁とみなせるわけではない

ことも明示しています。

そのため土地売却前には、

  • 工作物確認済証
  • 工作物検査済証
  • 宅地造成許可関係書類
  • 開発許可関係書類
  • 擁壁の図面

などが残っていないか確認します。

■④「2m」が一つの重要な基準になる

高低差のある土地を調査するとき、実務上重要な数字の一つが2mです。

東京都建築安全条例では、高さ2mを超えるがけに近接して建物を建築する場合について一定の制限があります。

いわゆる「がけ条例」です。

八王子市もこの規定について具体的に案内しています。

ただし、

高低差が2mを超えたら建築できない

という意味ではありません。

擁壁の状況、建物の位置、基礎構造、がけとの距離などによって判断が変わります。

ここは不動産売買で誤解されやすい部分です。

■⑤擁壁の「所有者」も確認する

これも売却実務では非常に重要です。

例えば自分の土地が隣地より高い場合、境界部分にある擁壁が、

  • 自分の所有物
  • 隣地所有者の所有物
  • 共有
  • 所有関係不明

のどれなのかを確認します。

見た目だけで、

「こちら側の土地を支えているから自分の擁壁だろう」

と判断することはできません。

境界標、確定測量図、造成時の図面、過去の契約書類などを確認して判断します。

■⑥古い擁壁では劣化状況もチェックする

擁壁そのものの状態も確認します。

八王子市では擁壁の点検ポイントとして、

  • 石積み・ブロックのずれ
  • 亀裂
  • 沈下
  • 水抜き穴の詰まり
  • コンクリートブロックを土留めとして使用していないか

などを挙げています。

特に注意したいのがです。

擁壁の裏側に雨水や地下水が溜まると、水圧によって擁壁に大きな負担がかかります。

そのため擁壁には通常「水抜き穴」が設けられています。

水抜き穴が塞がれていたり、擁壁が膨らんでいたりする場合には注意が必要です。

■⑦「増し積み擁壁」にも注意する

台町に限った話ではありませんが、古い住宅地では既存擁壁の上に別のブロックなどを追加していることがあります。

いわゆる増し積み擁壁です。

例えば、

鉄筋コンクリート擁壁

その上に土留めブロック

さらに盛土

といった状態です。

このような施工は、当初設計された擁壁に想定以上の荷重をかけている可能性があります。

見た目だけでは安全性を判断できないため、土地売却時には重要な調査ポイントになります。

■⑧二段擁壁になっていないか

もう一つ注意したいのが二段擁壁です。

例えば、

道路

擁壁

狭い平場

さらに擁壁

宅地

という形です。

個々の擁壁がそれぞれ2m以下でも、配置や距離によっては一体の「がけ」として検討する必要が生じることがあります。

「どちらも2m以下だから問題ない」

と単純には判断できません。

■⑨盛土・切土によって造られた宅地か

坂のある住宅地では、自然の斜面をそのまま利用して住宅を建築するわけではありません。

一般的には、

斜面を削る「切土」

土を入れて平らにする「盛土」

を組み合わせて宅地を造成します。

その結果、隣り合う土地でも地盤条件が違うことがあります。

現在は「宅地造成及び特定盛土等規制法(盛土規制法)」によって、一定規模以上の盛土・切土について規制が行われています。

八王子市では2024年7月31日から新しい盛土規制法による審査基準が適用されています。

さらに2026年7月からは、東京都と八王子市が過去に造成された盛土や擁壁の状況確認調査も実施しています。

■⑩ハザードマップも必ず確認する

「高台だから水害は関係ない」

という判断も危険です。

八王子市のハザードマップには、

  • 洪水
  • 内水
  • 土砂災害警戒区域
  • 土砂災害特別警戒区域

などが掲載されています。

台町についても場所によって地形が異なるため、町名単位ではなく土地の位置まで落として確認することが重要です。

特に高低差のある土地では、洪水リスクだけでなく土砂災害関係の指定についても確認します。

■⑪前面道路の勾配は建築計画にも影響する

道路が坂になっている土地では、建物そのものよりも駐車場計画が難しくなることがあります。

例えば前面道路が傾斜している場合、

  • 駐車場入口に高低差が出る
  • 車の底を擦りやすくなる
  • 駐車場勾配が急になる
  • 道路と敷地の間に段差ができる

などの問題が生じます。

建物を解体して更地にすると、

「十分な広さがある土地だから問題なく建築できる」

ように見えることがあります。

しかし実際には、道路と敷地の高さを調整するために造成費用が必要になるケースがあります。

■⑫道路より低い土地にも注意

高低差というと「道路より高い土地」に注目しがちですが、道路より低い土地も注意が必要です。

道路から敷地へ雨水が流れ込む可能性があるため、

  • 排水経路
  • 雨水桝
  • 側溝
  • 土地の勾配
  • 建物基礎高さ

などを確認します。

集中豪雨では短時間に大量の雨が降るため、単純な標高だけではなく敷地周辺の排水条件を見ることが重要です。

■⑬高低差がある土地=価値が低い、ではない

ここも非常に重要です。

高低差があるからといって、必ず土地評価が低くなるわけではありません。

例えば高台の土地には、

  • 日当たりが良い
  • 眺望が良い
  • 道路からの視線が入りにくい
  • 周辺より開放感がある

といったメリットがあります。

富士森公園周辺など台町の高台には、こうした特徴を持つ住宅地もあります。

問題なのは、

高低差そのものではなく、それを安全に維持・利用するためにどの程度費用が必要なのか

です。

■⑭土地査定では「造成費」を考える

土地価格を査定するときには、

駅距離

土地面積

道路条件

用途地域

だけでは不十分です。

高低差のある土地の場合、

買主が建物を建築するまでに必要となる費用

を考える必要があります。

例えば、

土地価格3,000万円

という土地でも、

  • 既存擁壁撤去
  • 新設擁壁
  • 盛土・切土
  • 残土処分
  • 階段造成
  • 駐車場造成

などに大きな費用が必要になれば、買主が土地そのものに支払える金額は下がる可能性があります。

■⑮擁壁を直してから売るべきとは限らない

では売主側で擁壁を造り直してから売却した方がよいのでしょうか。

必ずしもそうではありません。

擁壁工事には多額の費用がかかる場合があります。

また、新しい買主が、

「建物の配置に合わせて造成したい」

と考えることもあります。

そのため、

売却前に数百万円をかけて工事をすることが、必ずしも売主にとって有利とは限りません。

まず現況を調査し、そのまま売却した場合と工事後に売却した場合を比較することが重要です。

■⑯古家付きで売るか、更地にするかも慎重に判断する

坂のある土地では、安易な解体にも注意が必要です。

古い建物を解体すると、

  • 土地の高さ
  • 擁壁の状態
  • 基礎と擁壁との関係

がより明確になります。

しかし建物を解体してしまった後で、

「新築するためには擁壁工事が必要だった」

と判明することもあります。

そのため、台町の高低差のある土地では、

解体前に建築可能性と造成条件を確認する

ことをおすすめします。

■⑰境界確認も非常に重要

高低差のある土地では、境界確認が通常の土地以上に重要になることがあります。

例えば、

  • 擁壁の上が境界なのか
  • 擁壁の下が境界なのか
  • 擁壁の中心が境界なのか

を見た目だけで判断することはできません。

さらに擁壁が少し斜めに施工されていると、上部と下部で位置が異なることもあります。

確定測量を行う場合には、土地家屋調査士とともに擁壁と境界の位置関係を確認することが重要です。

■⑱地中部分まで考える

擁壁は地上に見えている部分だけで構成されているわけではありません。

鉄筋コンクリート擁壁などでは地下に基礎があります。

そのため境界ぎりぎりに擁壁が設置されている場合、擁壁本体は自分の土地にあっても、

地下の基礎部分が隣地側へ越境している可能性

まで確認が必要になるケースがあります。

古い造成地では図面が残っていないこともあり、判断が難しい部分です。

■⑲「昔からこうなっている」は安全性の証明にはならない

不動産売買でよく聞くのが、

「50年間何も起きていないから大丈夫でしょう」

という話です。

しかし、

長期間問題が発生していないことと、現在の法令上・構造上の安全性は別の問題です。

逆に、古い擁壁だから直ちに危険というわけでもありません。

重要なのは、

  • どのような構造なのか
  • 許可記録があるか
  • 劣化していないか
  • 現在の建築計画に利用できるか

を個別に確認することです。

■台町の土地売却では「土地価格」より先に土地条件を調べる

台町は八王子駅・西八王子駅の双方に比較的アクセスしやすく、富士森公園など生活環境にも恵まれた住宅地です。

一方で、地形に高低差がある場所では、不動産価格サイトなどに掲載されている「坪単価」だけを見ても正確な査定はできません。

同じ台町でも、

平坦地なのか
坂道なのか
道路より高いのか
道路より低いのか
擁壁があるのか
擁壁の許可記録があるのか
再建築時に造成工事が必要なのか

によって条件は大きく違います。

■まとめ|台町では「坂」ではなく「土地の成り立ち」を見る

台町に坂道が多いのは、八王子特有の丘陵・台地・低地が入り組んだ地形と深く関係しています。

しかし土地売却で本当に重要なのは、

「坂があるかどうか」だけではありません。

確認したいのは、

地形

道路との高低差

隣地との高低差

擁壁

切土・盛土

排水

境界

再建築時の造成費

です。

特に台町のように町内でも地形条件が大きく変わる地域では、インターネット上の相場だけで査定するのではなく、現地を見て土地条件を一つずつ確認することが大切です。

土地の高低差や擁壁に問題があるからといって、売却できないわけではありません。

重要なのは、問題を隠すことでも必要以上に不安視することでもなく、現状を正確に調査したうえで、買主に分かりやすく説明し、適正な売却方法を組み立てることです。

台町の土地を売却する場合には、地域相場だけでなく、こうした地形・造成・建築条件まで確認できる不動産会社へ相談することをおすすめします。

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★監修者

株式会社cocoro不動産 代表取締役

★柴田祐介(しばた ゆうすけ)1981年生まれ。

大手不動産会社にて、八王子・町田・新百合ヶ丘など多摩地区を中心に約17年間、不動産売買仲介業務に従事。

【保有資格】宅地建物取引士/二級建築士/2級FP技能士/秘書検定2級/既存住宅状況調査技術者/相続アドバイザー2級

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