八王子市の開発許可
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八王子市で土地の分譲、造成、建物の建築などを計画する際、重要になるのが都市計画法に基づく「開発許可」です。
開発許可の要否は土地の面積だけで決まるものではありません。
市街化区域か市街化調整区域か、道路を新設するか、切土・盛土を行うか、農地や山林を宅地として利用するかなど、計画全体を確認して判断する必要があります。
特に八王子市は高低差のある土地、市街化調整区域、既存擁壁を含む土地が多いため、売買契約を締結する前の調査が非常に重要です。
開発許可制度とは
開発許可制度は、無秩序な市街化を防止するとともに、道路・排水施設・公園などが一定の水準を満たした、安全で良好な宅地を形成するための制度です。
八王子市では、2015年4月の中核市移行に伴い、都市計画法に基づく開発許可事務が東京都から八王子市へ移管されています。
現在は、八王子市長が開発許可の許可権者となり、市独自の地域特性を踏まえた審査基準によって審査が行われます。
「開発行為」に該当する工事とは
都市計画法上の開発行為とは、主として建築物の建築または特定工作物の建設を目的として行う「土地の区画形質の変更」をいいます。
区画形質の変更は、主に次の3種類に分けられます。
1.区画の変更
開発区域内に新たな道路を設ける、既存の道路や水路を付け替える、廃止するといった公共施設の変更です。
単に登記上の土地を分筆するだけでは、直ちに開発行為になるとは限りません。
しかし、複数の宅地をつくるために道路を新設する場合などは、開発許可の対象となる可能性が高くなります。
2.形の変更
切土・盛土・擁壁工事などによって、土地の形状を変更する行為です。
八王子市では傾斜地や道路との高低差がある土地も多いため、造成計画だけでなく、擁壁の構造、地盤の安全性、雨水排水の処理方法まで審査対象になります。
3.質の変更
農地、山林、雑種地など、宅地以外の土地を建築物の敷地として利用する行為です。
八王子市の市街化区域では、原則として500平方メートル以上の質の変更が開発許可の対象となります。
一方、市街化調整区域では面積要件がないため、小規模な土地であっても開発許可が必要になる可能性があります。
市街化区域と市街化調整区域の違い
市街化区域では、市街化調整区域と比較すれば建築の可能性は高くなります。
ただし、500平方メートル未満であれば、どのような造成や建築でも自由にできるという意味ではありません。
地区計画、建築基準法、盛土規制法、農地法、土砂災害防止法、景観関係の手続きなど、別の規制を受ける場合があります。
市街化調整区域は、原則として市街化を抑制する区域です。
そのため、開発行為が都市計画法第33条の技術基準を満たすだけでは足りず、第34条に定められた立地基準にも該当しなければなりません。
既存宅地、既存建築物の建替え、沿道サービス施設、公益上必要な施設、条例で指定された区域など、認められる建築には細かな条件があります。
「以前に建物が建っていた」「周辺に住宅がある」という事情だけで、当然に住宅を建築できるわけではありません。
開発許可で審査される主な内容
開発許可では、主に次の事項が確認されます。
- 道路の幅員、構造、接続方法
- 公園・緑地・広場の配置
- 雨水・汚水の排水計画
- 給水施設の整備
- 消防水利、消防活動上の安全性
- 地盤、擁壁、法面の安全性
- 災害危険区域や土砂災害区域との関係
- 申請者の資力・信用
- 工事施行者の能力
- 土地所有者など権利者の同意
分譲住宅を計画する場合には、単に宅地を何区画に分けられるかだけでなく、道路や排水施設を含めた全体計画が成立するかを検討しなければなりません。
八王子市では盛土規制法にも注意
八王子市は、2024年7月31日から市内全域が「宅地造成等工事規制区域」に指定されています。
そのため、都市計画法上の開発許可が不要な規模であっても、一定規模以上の盛土・切土、崖の形成、土石の一時的な堆積などを行う場合は、盛土規制法の許可が必要になることがあります。
特に重要なのは、規制対象が宅地造成だけに限られないことです。
農地、山林、資材置場などについても、土地の用途にかかわらず規制対象となる可能性があります。
開発許可を受けた土地を売買するときの確認事項
過去に開発許可を受けた土地では、八王子市が保管している「開発登録簿」を確認できる場合があります。
開発登録簿には、許可番号、開発区域、予定建築物の用途、土地利用計画、道路・擁壁・排水施設などの概要が記載されています。
不動産売買では、少なくとも次の事項を調査します。
- 開発許可の有無と許可番号
- 工事完了公告の有無
- 予定建築物の用途
- 開発区域と現在の敷地の関係
- 道路や公園の帰属状況
- 擁壁・排水施設の位置
- 都市計画法第42条の用途制限
- 市街化調整区域における建築許可の履歴
開発許可を受けた区域では、完了公告後も、許可時に定められた予定建築物以外の建築が制限される場合があります。
住宅として許可された土地を店舗、事務所、共同住宅などへ変更できるとは限らないため、購入目的と許可内容の整合性を確認する必要があります。
開発登録簿は八王子市役所で閲覧でき、写しの交付も受けられます。
開発許可が不明な土地を売却する場合
土地の売却では、売り出してから開発許可の問題が判明すると、計画していた建物が建てられず、契約条件の変更や契約解除につながることがあります。
特に注意が必要なのは、次のような土地です。
- 500平方メートル前後またはそれ以上の土地
- 市街化調整区域内の土地
- 農地、山林、雑種地
- 高低差や既存擁壁がある土地
- 道路を新設して分譲する土地
- 過去に大規模な造成が行われた土地
- 古い開発許可区域に含まれる土地
- 土砂災害警戒区域等に含まれる土地
土地の価値は、単純な面積に坪単価を掛けるだけでは判断できません。
有効宅地面積、造成費、道路整備費、擁壁工事費、雨水対策費、許可取得までの期間などを考慮して、実現可能な事業計画から価格を検討する必要があります。
よくある質問
Q.500平方メートル未満なら開発許可は不要ですか?
市街化区域では500平方メートルが一つの判断基準になりますが、工事内容や土地の状況によって結論が異なります。
盛土規制法や土砂災害防止法など、別の許可が必要になる場合もあります。
Q.土地を分筆するだけでも開発許可が必要ですか?
登記上の分筆だけで、直ちに開発行為になるとは限りません。
ただし、宅地分譲を目的として道路の新設、造成、農地から宅地への変更などを行う場合は、開発許可の対象となる可能性があります。
Q.市街化調整区域でも住宅を建築できますか?
一定の要件を満たせば建築できる場合がありますが、原則として開発や建築が制限されている区域です。
過去の建築履歴、線引き時点の土地利用、既存宅地の要件、都市計画法第34条・第43条などを個別に確認する必要があります。
Q.開発許可の調査は誰に依頼すればよいですか?
行政との事前相談には、土地利用計画や造成計画を示す資料が必要になる場合があります。
売却前の調査は、開発許可に詳しい不動産会社を窓口として、必要に応じて土地家屋調査士、測量士、建築士、開発設計者などと連携して進める方法が現実的です。
まとめ
八王子市の開発許可は、土地の面積だけで判断できる制度ではありません。
市街化区域・市街化調整区域の区分、土地の利用履歴、道路、造成、擁壁、排水、災害リスク、予定建築物の用途などを総合的に確認する必要があります。
土地を売却する場合も、購入後に何が建築できるのかを事前に整理することで、適正な価格設定と安全な契約につながります。
特に市街化調整区域や高低差のある土地は、売り出す前の行政調査が重要です。
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【本ブログ監修者】

株式会社cocoro不動産 代表取締役
★柴田祐介(しばた ゆうすけ)
1981年生まれ
大手不動産会社にて、八王子・町田・新百合ヶ丘など多摩地区を中心に約17年間、不動産売買仲介業務に従事。
宅地建物取引士・二級建築士・2級ファイナンシャル・プランニング技能士・既存住宅状況調査技術者・相続アドバイザー2級。