七国・みなみ野の住宅地|地区計画が建替えに与える影響
POST:

八王子市の七国・みなみ野は、道路や公園、街区が計画的に整備され、比較的新しい戸建住宅が多く建ち並ぶ住宅地です。
街を歩いてみると、敷地にゆとりがあり、建物と道路の間隔が比較的広く、生垣やフェンスなどにも統一感を感じる場所があります。
こうした街並みは、偶然形成されたものではありません。
七国・みなみ野を含む広い範囲には、八王子市の**「南八王子地区地区計画」**が定められており、建物の建て方や敷地の使い方について、通常の用途地域・建ぺい率・容積率とは別のルールが設けられています。南八王子地区地区計画は、みなみ野一丁目~六丁目、七国一丁目~六丁目などを含む約394.3haの区域を対象としています。
そのため、
「今ある家を壊せば、同じ位置・同じ大きさで建て直せるだろう」
とは限りません。
七国・みなみ野で中古戸建や土地を売買するときは、現在建っている建物を見るだけではなく、将来の建替え時にどのような制限を受ける土地なのかまで確認することが重要です。
今回は、七国・みなみ野の住宅地で特に注意したい「地区計画」と建替えの関係について、不動産売買の実務を踏まえて詳しく解説します。
■そもそも「地区計画」とは?
土地に建物を建てるときには、
・用途地域
・建ぺい率
・容積率
・高さ制限
・道路斜線
・北側斜線
・日影規制
など、都市計画法や建築基準法によるさまざまな規制があります。
地区計画は、こうした一般的な規制とは別に、特定の地域について、さらに細かな街づくりのルールを定める制度です。
八王子市も、地区計画について「用途地域は全国一律の規制であるのに対し、地区ごとの特性に応じて住みよい街づくりを考える制度」と説明しています。
地区計画では、例えば、
・建築物の用途
・敷地面積の最低限度
・壁面の位置
・建物の高さ
・建物の形態や色彩
・垣や柵の構造
などについて制限することができます。
つまり、
「用途地域上は建築できる」=「その計画で建築できる」
とは限らないのです。
■七国・みなみ野は「南八王子地区地区計画」の区域
七国・みなみ野周辺では、南八王子土地区画整理事業によって道路、公園、住宅地などが計画的に整備されてきました。
南八王子地区地区計画も、この計画的な街並みや住環境を将来にわたって維持することを大きな目的としています。
ただし、ここで非常に重要なのが、
南八王子地区地区計画の区域内は、すべて同じ建築ルールではない
という点です。
地区計画では区域を17種類に区分しており、
「一般住宅地区」
「集合住宅地区」
「ふれあい通り地区」
「沿道型住宅地区」
「生活関連施設地区」
「センター地区」
など、それぞれ異なる土地利用方針が設定されています。
したがって、
「七国だからこの規制」
「みなみ野だからこの規制」
と町名だけで判断することはできません。
実際の土地が地区計画上のどの地区区分に入っているのかを、土地ごとに確認する必要があります。
■一般住宅地区では「165㎡」が重要になる
七国・みなみ野の戸建住宅を考えるうえで、特に重要なのが敷地面積の最低限度です。
南八王子地区地区計画の「一般住宅地区」では、建築物の敷地面積の最低限度が
165㎡
とされています。
165㎡は約49.9坪です。
これは将来の土地利用を考えるうえで非常に重要な規制です。
例えば300㎡の土地があったとして、
「150㎡ずつ2区画に分けて売却しよう」
と考えても、一般住宅地区で最低敷地面積165㎡が適用される土地であれば、原則としてそのような分割を前提とした建築計画はできません。
この制度は、土地が細かく分割され続け、
・住宅が密集する
・庭がなくなる
・駐車スペースが不足する
・街並みのゆとりが失われる
といったことを防ぐ意味を持っています。
つまり、七国・みなみ野の整った住宅街の価値を維持する一方で、土地所有者から見ると土地分割の自由度が低くなる可能性があるということです。
■建替えでは「壁面後退」が非常に重要
七国・みなみ野で建替えを検討するとき、特に注意したいのが建物を敷地境界線からどれだけ離さなければならないかという規定です。
南八王子地区地区計画の一般住宅地区では、原則として、
隣地境界線から0.7m以上
道路境界線から1m以上
建物の外壁または柱を離す規定があります。一定の小規模な物置や車庫などには例外規定があります。
この「道路から1m」「隣地から0.7m」という数字は、建替えプランを作る際には決して小さな条件ではありません。
例えば50坪程度の土地であっても、敷地の形状が細長ければ、道路側と隣地側から壁面後退した結果、
実際に建物を配置できる範囲が想像以上に小さくなることがあります。
■「建ぺい率40%だから40%まで建てられる」とは限らない
不動産広告を見ると、
「建ぺい率40%・容積率80%」
などと書かれています。
この数字だけを見ると、
「165㎡×40%=66㎡まで1階部分を建築できる」
と考えたくなります。
しかし実際の建物配置は、それほど単純ではありません。
地区計画による壁面後退がある場合、
道路から1m、隣地から0.7mなどのラインを敷地図上に入れ、その内側に建物を配置する必要があります。
そのため、
建ぺい率には余裕があっても、壁面後退によって希望する建物が入らない
ということがあります。
これは七国・みなみ野の建替えを検討する際に非常に重要なポイントです。
■現在建っている家と同じ位置に建替えできるとは限らない
中古戸建の購入者から、
「今ここに家が建っているんだから、将来も同じように建てられますよね?」
と聞かれることがあります。
しかし、これは慎重に確認しなければなりません。
現在の住宅が、
・いつ建築されたのか
・その後地区計画が変更されていないか
・増築や車庫の設置が行われていないか
・現在の地区計画に対してどのような扱いになるのか
などによって状況が変わるからです。
したがって売買の際には、現在の建物の配置だけを根拠に、
「同じ建物がそのまま再建築できます」
と判断するべきではありません。
建替え時には、その時点で適用される用途地域、地区計画その他の建築規制を改めて確認し、建築士や行政窓口を含めて具体的な建築計画を検討する必要があります。
■カーポート・物置も確認が必要
戸建住宅では、建物本体だけではなく、
・カーポート
・車庫
・物置
・サイクルポート
などを後から設置することがあります。
地区計画では壁面位置について一定の例外がありますが、何でも自由に境界近くへ設置できるわけではありません。
南八王子地区地区計画でも、小規模な物置や一定の車庫について例外規定が設けられていますが、大きさや軒高などの条件があります。
したがって、
「住宅本体ではないから関係ない」
という判断は危険です。
建替え時に既存のカーポートを撤去し、新しいものを設置する場合なども確認した方がよいでしょう。
■フェンスや塀にも地区計画のルールがある
七国・みなみ野を歩くと、高いブロック塀が延々と続く住宅街が比較的少なく、開放感のある街並みになっている場所があります。
これにも地区計画が関係しています。
南八王子地区地区計画では、対象となる地区について垣または柵を原則として、
生垣または高さ1.2m以下のフェンス
とし、フェンスなどの基礎となるコンクリートブロック・石積みについても原則として高さ0.4m以下とする基準があります。
こうした規定は、
・街の開放感
・緑の連続性
・防災性
・良好な景観
を維持する役割を持っています。
建替えに合わせて外構を全面的に変更する場合は、建物だけではなく外構計画まで地区計画を確認する必要があるということです。
■高さ制限は「地区区分」によって違う
ここも誤解しやすいところです。
南八王子地区地区計画の区域だからといって、すべての住宅に同一の地区計画上の高さ制限が設定されているわけではありません。
例えば地区計画では、「ふれあい通り地区」「沿道型住宅地区」「生活関連施設地区」など、特定の地区について建築物の高さの最高限度が定められています。
一方で、一般住宅地区については、同じ形で地区計画独自の高さ最高限度が設定されているわけではありません。
もちろん、
・用途地域
・高度地区
・斜線制限
・日影規制
など、地区計画以外の建築規制は別に確認する必要があります。
だからこそ、
「地区計画区域かどうか」だけではなく、「地区計画の何地区なのか」を調査することが重要
なのです。
■七国三丁目では「建築協定」まで確認したい
七国については、さらに一段注意すべき場所があります。
八王子市によると、七国三丁目の一部には、
「八王子みなみ野シティ シフォンの丘」
の建築協定区域が複数存在します。第Ⅰ地区から第Ⅴ地区までが市の建築協定一覧に掲載されています。
つまり該当する土地では、
用途地域だけ確認して終わり
でもなく、
地区計画だけ確認して終わり
でもありません。
土地によっては、
用途地域+地区計画+建築協定
という複数のルールを重ねて確認する必要があります。
建築協定では、地区によって敷地・位置・構造・用途・形態・意匠などについて独自の基準が設定されており、例えばシフォンの丘の協定には地盤高や駐車位置などに関する規定が定められているものもあります。
これは七国の不動産を調査するときに、特に見落としたくないポイントです。
■「地区計画」と「建築協定」は同じものではない
両者は混同されることがありますが、別の制度です。
地区計画は都市計画法に基づいて行政が都市計画として定める仕組みです。
一方、建築協定は建築基準法に基づき、土地所有者等の合意によって一定区域の建築ルールを定める仕組みです。
そのため七国三丁目の一部のような地域では、両方を確認する必要があります。
不動産売買では、この違いを理解せず、
「地区計画は確認しました」
だけで調査を終了すると、建築協定の存在を見落とす可能性があります。
■建替えでは地区計画の届出も必要
八王子市では、地区計画区域内で対象となる建築行為などを行う場合、原則として行為に着手する日の30日前までに地区計画の届出が必要です。
つまり建替えでは、
建築会社にプランを作ってもらう
↓
建築確認を取る
↓
工事開始
という確認だけではなく、地区計画に関する手続きも考慮する必要があります。
設計の最終段階になって、
「地区計画の壁面後退に入っています」
「外構計画を変更してください」
ということになれば、建物プランそのものを修正する可能性があります。
そのため七国・みなみ野で建替えを考える場合には、設計の初期段階で地区計画を確認することが重要です。
■売却するときにも地区計画は重要
地区計画というと、
「建替える人だけの話」
と思われるかもしれません。
しかし、不動産を売却するときにも非常に重要です。
特に土地として売却する場合、購入者が知りたいのは、
「今どうなっているか」
だけではありません。
購入者が知りたいのは、
「この土地を買ったら、どんな家が建てられるのか」
です。
そのため、
・敷地面積最低限度
・壁面後退
・建物用途
・高さ
・外構
・建築協定
などは、土地の商品価値そのものに関係します。
■土地を2区画に分けられるかで査定価格が変わることもある
例えば330㎡程度の土地なら、
「165㎡+165㎡」
という分割が検討できる可能性があります。
一方、300㎡なら、
「150㎡+150㎡」
では最低敷地面積165㎡を下回ります。
つまり、わずかな面積差でも、
2宅地として利用できる可能性がある土地
と
原則として1宅地で利用する土地
では、土地の評価方法が大きく変わる場合があります。
ただし、実際に分割できるかどうかは面積だけでは決まりません。
・接道
・間口
・宅地形状
・上下水道
・擁壁
・高低差
・地区計画
・開発許可関係
などを総合的に確認する必要があります。
七国・みなみ野では比較的大きな敷地もあるため、相続や住み替えで売却するときには特に重要な調査項目です。
■地区計画は「デメリット」だけではない
ここまで読むと、
「地区計画がある土地は面倒なのでは?」
と思われるかもしれません。
確かに建物を自由に建てたい人から見れば制約になります。
しかし、地区計画には大きなメリットもあります。
自分だけが、
「道路から1m離して家を建てる」
のではなく、周囲の土地も同じ考え方で建築されることで、
・隣家との間隔
・道路からの開放感
・敷地規模
・緑の量
・街並み
などが維持されやすくなります。
つまり地区計画は、
個々の土地利用をある程度制限する代わりに、住宅地全体の環境を守る仕組み
ともいえます。
七国・みなみ野の住宅街に一定の統一感やゆとりが感じられる理由の一つでもあります。
■七国・みなみ野の不動産調査では「住所検索だけ」で終わらせない
実務ではここが非常に重要です。
七国○丁目、みなみ野○丁目という住所だけを確認して、
「南八王子地区地区計画ですね」
だけでは調査として十分ではありません。
確認したいのは、
①地区計画区域に入っているか
だけではなく、
②地区整備計画のどの地区区分か
③その地区区分にどんな制限があるか
④建築協定など別のルールがないか
です。
さらに実際の建替えでは、
・用途地域
・建ぺい率・容積率
・高度地区
・道路
・接道
・敷地面積
・壁面後退
・造成・擁壁
・建築協定
などを重ねて確認して、初めて建築条件が見えてきます。
八王子市自身も、インターネットで公開している地区計画図については参考図であり、正確な区域については都市計画担当部署で確認するよう案内しています。
■まとめ|七国・みなみ野では「今の建物」ではなく「次の建物」まで確認する
七国・みなみ野は、土地区画整理事業によって計画的に整備され、良好な住宅地が形成されてきたエリアです。
その街並みを守っている仕組みの一つが南八王子地区地区計画です。
戸建住宅の多い一般住宅地区では、代表的な規定として、
敷地面積最低限度165㎡
隣地境界から原則0.7m以上
道路境界から原則1m以上
といったルールがあります。
さらに土地によっては、建物用途、高さ、外構などについて異なる制限があり、七国三丁目の一部では建築協定まで確認する必要があります。
したがって七国・みなみ野の住宅を売買するときには、
「現在家が建っているから問題ない」
ではなく、
「将来この家を取り壊したとき、どの範囲に、どのような建物を建てられるのか」
まで調べることが重要です。
特に相続した住宅や築20~30年を迎える住宅では、今すぐ建替えを予定していなくても、将来の再建築条件は購入者の判断や不動産価格にも関係します。
七国・みなみ野のような計画住宅地では、用途地域だけでなく、地区計画・地区区分・建築協定まで確認することが、不動産売却の重要な調査ポイントです。
八王子市公式資料:南八王子地区地区計画 八王子市「南八王子地区地区計画」
八王子市公式:地区計画区域一覧 八王子市「地区計画区域一覧」
★無料相談受付中|丁寧にご説明します!
大手の様な機械的な対応ではなく、お一人お一人に寄り添った提案を親身にさせて頂きます。
お気軽にお問い合わせください!
★その他売却についてのよくあるご質問
★株式会社cocoro不動産のGoogle口コミはこちら
実際にご相談いただいたお客様の声は、Google口コミでもご確認いただけます。
🔗 Google口コミを確認する
【本ブログ監修者】

株式会社cocoro不動産 代表取締役
★柴田祐介(しばた ゆうすけ)1981年生まれ
大手不動産会社にて、八王子・町田・新百合ヶ丘など多摩地区を中心に約17年間、不動産売買仲介業務に従事。
【保有資格】宅地建物取引士/二級建築士/2級FP技能士/相続アドバイザー二級/秘書検定2級/既存住宅状況調査技術者