サンルームを後から増築した家は売却できる?
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中古戸建を査定していると、建築当初にはなかったサンルームが後から設置されているケースがあります。
「ホームセンターやリフォーム会社に頼んで付けただけだから問題ないだろう」
「庭に付けた簡易的なものだから建物ではないだろう」
と思われることもありますが、不動産を売却するときには注意が必要です。
結論から言えば、後からサンルームを増築した家でも売却することはできます。
ただし、そのサンルームが建築基準法上の「増築」に該当するのか、建築確認が必要だったのか、建ぺい率・容積率を超えていないか、登記に反映されているかなどを確認する必要があります。
特に注意したいのは、
「サンルームがある=違反建築」ではない一方、「小さなサンルームだから何も確認しなくてよい」わけでもない
という点です。
売却前には、サンルームそのものだけを見るのではなく、建物全体と敷地条件を含めて確認することが重要です。
■そもそもサンルームは「増築」になる?
一般的なサンルームは、住宅の外壁部分にアルミフレームなどを固定し、屋根や側面をガラス・ポリカーボネート等で囲って造られます。
建築基準法上の「増築」とは、原則として同一敷地内の既存建築物の床面積を増加させる行為です。
そのため、
・屋根がある
・壁やガラスで囲われている
・住宅と一体的に使用している
・継続的に屋内的な用途として利用できる
といったサンルームの場合、建築物の一部として扱われ、床面積に算入される可能性があります。
国土交通省の床面積算定の考え方でも、壁・扉・柱などで囲まれた部分については床面積として扱い、ポーチ等でも「屋内的用途」に利用する場合には床面積に算入する考え方が示されています。
一方、屋根だけのテラスや十分に外気へ開放された部分などは、構造・利用状況によって取扱いが異なる場合があります。
つまり、
商品名が「サンルーム」「テラス囲い」「ガーデンルーム」だから判断できるわけではありません。
実際の構造を見て判断する必要があります。
■「10㎡以内なら建築確認はいらない」は半分正解
サンルームについて非常によく聞くのが、
「10㎡以内なら確認申請はいらないですよね?」
という話です。
確かに、建築基準法では、防火地域・準防火地域以外における一定の増築・改築・移転について、増築部分等の床面積が10㎡以内の場合に建築確認を不要とする規定があります。
しかし、ここで非常に重要なのが、
「建築確認が不要」=「建築基準法を守らなくてよい」ではない
ということです。
建築確認という「手続」が不要だったとしても、
・建ぺい率
・容積率
・道路斜線
・北側斜線
・高度地区
・外壁後退
・防火規定
・地区計画
・接道条件
などの規定には適合している必要があります。
さらに、防火地域・準防火地域では10㎡以内の増築であっても建築確認が必要となる場合があります。
したがって「8㎡のサンルームだから問題ありません」と面積だけで判断するのは危険です。
■2025年4月の建築基準法改正にも注意
2025年4月1日から建築基準法の建築確認制度が改正され、従来「4号建築物」と呼ばれていた一般的な木造戸建住宅についても、建築確認・審査の対象が見直されています。
現在は、階数2以上または延べ面積200㎡を超える建築物などが「新2号建築物」として整理され、大規模修繕・大規模模様替についても確認申請の対象が広がりました。
さらに、2025年4月以降に着工する建築物については、省エネ基準適合義務の対象も大きく拡大しています。
そのため、これからサンルームなどを増築する場合と、10年、20年前に設置されたサンルームとでは、確認すべき法令や工事時期が異なる場合があります。
売却時には、
「現在の法律だけを見る」のではなく、「いつ、どのような工事をしたのか」を確認すること
が重要です。
■特に問題になりやすいのが「建ぺい率オーバー」
サンルーム付き住宅で実務上特に注意したいのが建ぺい率です。
建ぺい率とは、
敷地面積に対して、建物を上から見た面積をどこまで建築できるか
という制限です。
例えば、
敷地100㎡
建ぺい率40%
であれば、原則として建築面積は40㎡までです。
もともとの住宅が建築面積39㎡だったところへ、建築面積5㎡として扱われるサンルームを増築すれば、
39㎡+5㎡=44㎡
となり、単純計算では建ぺい率44%になります。
このように、新築当時は適法だった住宅でも、後から増築したサンルームによって現在の建物が建ぺい率を超えてしまう可能性があります。
八王子市内でも用途地域によって建ぺい率・容積率・高度地区・防火指定・地区計画などが異なります。
したがってサンルームの確認では、
サンルーム単体ではなく、既存建物+サンルームの合計で確認する
ことが非常に重要です。
■容積率にも影響する可能性がある
容積率とは、
敷地面積に対する建物の延べ床面積の割合
です。
サンルームが床面積に算入される場合、当然ながら建物全体の延べ床面積も増えます。
例えば、
敷地100㎡
容積率80%
既存建物78㎡
だった住宅に5㎡のサンルームを増築すると、
78㎡+5㎡=83㎡
となります。
この場合、単純計算では容積率83%となります。
特に、もともと建ぺい率・容積率の限度近くまで建てられた住宅では、数㎡程度のサンルームでも影響することがあります。
■「未登記」と「違反建築」は全く別の問題
ここは不動産売却で非常に重要です。
例えば、
登記簿上の床面積:90㎡
実際の建物:90㎡+サンルーム8㎡
という住宅があったとします。
この場合、
「登記されていないから違法建築」
とは限りません。
確認すべき問題は大きく二つあります。
①建築基準法上の問題
サンルーム増築時に、
・建築確認が必要だったのか
・建ぺい率・容積率に適合しているか
・その他の建築制限に適合しているか
を確認します。
②不動産登記上の問題
増築によって建物の床面積・構造・種類などが変わった場合には、登記記録と現況を一致させるため、建物表題部変更登記が必要になることがあります。
不動産登記法上、建物の表題部の登記事項に変更が生じた場合、原則として変更の日から1か月以内に変更登記を申請することとされています。
つまり、
未登記=建築基準法違反
ではありません。
逆に、
登記されている=建築基準法上適法
とも限りません。
「登記」と「建築基準法」は別々に確認する必要があります。
■建築確認が必要だったのに申請していなかった場合
ここから少し専門的になります。
サンルームを設置した当時、本来建築確認が必要だったにもかかわらず、確認申請を行わず増築していた場合があります。
この場合、
「今から確認申請を出せば済む」
とは限りません。
建築確認は原則として工事着手前に行う手続だからです。
そのため実務では、
・増築した時期
・増築部分の面積
・防火地域等の指定
・当時の建築基準法
・現在の建築物の状態
・建ぺい率、容積率
・構造上の安全性
などを確認し、建築士や行政、指定確認検査機関等への確認が必要になることがあります。
■「既存不適格建築物」と「違反建築物」も区別する
もう一つ重要なのが、既存不適格建築物です。
既存不適格建築物とは、
建築した当時は適法だったものの、その後の法律改正や都市計画変更等によって現在の基準には適合しなくなった建物
です。
これは、最初から法律に違反して建てられた「違反建築物」とは意味が異なります。
さらに既存不適格建築物を増築する場合には、建築基準法第86条の7などによる特別な取扱いがあります。
国土交通省も既存不適格建築物の増築・改築について、増築規模等に応じた規定を設けています。
したがって、
「今の基準に合っていないから違反」
「増築したから既存部分まで全部現在の基準に直さなければならない」
と単純には判断できません。
■サンルームがあると住宅ローンに影響する?
サンルームがあること自体で住宅ローンが利用できなくなるわけではありません。
問題になるのは、
現況と建築確認資料・登記記録などに大きな食い違いがある場合
です。
金融機関は中古住宅を担保として住宅ローンを融資するため、建物の適法性や担保評価について確認することがあります。
住宅金融支援機構の【フラット35】でも、中古住宅について技術基準への適合確認や物件検査等が定められています。
そのためサンルームについて問題がある場合、
・追加資料を求められる
・増築部分の調査が必要になる
・表題部変更登記を求められる
・融資対象としての判断に影響する
可能性があります。
もちろん金融機関によって審査基準は異なります。
そのため売買契約をしてから問題が分かるより、販売開始前に調査しておく方が安全です。
■売却前に確認したい資料
サンルームが増築されている住宅では、次の資料を確認していきます。
・建物登記事項証明書
・新築時の確認済証
・新築時の検査済証
・建築計画概要書
・新築時の設計図面
・増築時の図面
・増築工事の契約書や領収書
・増築時の確認済証、検査済証
・固定資産税課税明細書
・名寄帳
・現況測量図等
ただし、古い住宅では資料が残っていないことも珍しくありません。
資料がないから直ちに売却できないわけではなく、
現地調査+行政調査+登記調査
を組み合わせながら整理していきます。
■売却前にサンルームを撤去した方がいい?
問題が見つかったからといって、すぐにサンルームを撤去すればよいとは限りません。
まず状況を確認します。
例えば、
ケース1
建築確認不要の規模で、建ぺい率等にも問題がない
→そのまま売却できる可能性があります。
ケース2
建築基準法上は問題ないが、登記に反映されていない
→土地家屋調査士へ相談し、表題部変更登記を検討します。
ケース3
建ぺい率・容積率等を超えている
→建築士・行政等と相談し、是正方法を検討します。
ケース4
サンルームを撤去すれば問題が解消する
→売却条件や費用を考慮し、撤去してから販売する方法もあります。
ケース5
現況のまま売却する
→問題点を調査・整理したうえで、買主側へ十分説明して売却する方法を検討します。
大切なのは、
原因を調べずに「とりあえず壊す」「とりあえずそのまま売る」と決めないことです。
■売買契約では買主への説明も重要
サンルームについて建築確認や登記上の問題が確認された場合、それを把握したまま買主へ説明せずに売却することは避けるべきです。
例えば、
・サンルームが未登記である
・確認申請の記録が確認できない
・建ぺい率超過の可能性がある
・撤去を前提としている
・金融機関の融資審査に影響する可能性がある
といった事項は、購入判断に影響する可能性があります。
仲介実務では、確認できた事実と確認できない事項を分け、資料を示しながら説明することが重要です。
「大丈夫だと思います」
ではなく、
何が確認できて、何が確認できていないのかを明確にする
ことが安全な不動産取引につながります。
■八王子市では地区計画などにも注意
八王子市内では、用途地域だけでなく、
・地区計画
・建築協定
・高度地区
・外壁後退
・最低敷地面積
・防火・準防火地域
・都市計画道路
などが指定されている住宅地があります。
また、都市計画施設の区域内では、建築確認が不要となる小規模な増築であっても、都市計画法第53条の許可が必要となる場合があります。八王子市も、10㎡未満の増築等で建築確認が不要となる場合でも、第53条許可は別途必要になることを案内しています。
ここは非常に重要です。
つまり、
「確認申請不要だったから何の手続も必要なかった」とは限らない
ということです。
■査定時にサンルームを見つけたらどうする?
株式会社cocoro不動産では、サンルームなど後から増築された可能性がある部分を確認した場合、
①建物登記を確認
②建築計画概要書等を確認
③新築時の図面と現況を比較
④増築時期を確認
⑤用途地域・建ぺい率・容積率等を確認
⑥防火指定・地区計画等を確認
⑦必要に応じて建築士・土地家屋調査士等と連携
という流れで整理していきます。
サンルームだけでなく、
・後付けの物置
・増築した洋室
・バルコニー下を囲った部屋
・車庫を室内化した部分
・玄関横の増築
・吹抜けを床にした部分
なども同じような問題が起きることがあります。
■まとめ|サンルームがあっても売却できる。重要なのは「調べてから売る」こと
後からサンルームを増築した住宅であっても、基本的には売却を検討することができます。
ただし、
サンルームがある → 売れない
でも、
10㎡以内 → 必ず問題ない
でもありません。
確認すべきなのは、
・建築基準法上の増築に該当するか
・床面積、建築面積に算入されるか
・建築確認が必要だったか
・建ぺい率、容積率に問題がないか
・防火地域等ではないか
・地区計画等に抵触していないか
・登記と現況が一致しているか
・住宅ローンへの影響がないか
という点です。
そして特に大切なのが、
「未登記」と「違反建築」を混同しないこと。
未登記であっても建築基準法上問題がないケースがあります。
反対に、登記されていても建築基準法上の適法性が保証されるわけではありません。
サンルームや増築部分のある住宅を売却するときは、売り出してから問題を発見するのではなく、査定・販売開始の段階で建築資料、登記、現況を照合しておくことが重要です。
問題点を事前に整理できれば、必要な是正をしたうえで売却するのか、現況を説明したうえで売却するのかなど、物件に合わせた方法を検討することができます。
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【本ブログ監修者】

株式会社cocoro不動産 代表取締役
★柴田祐介(しばた ゆうすけ)1981年生まれ
大手不動産会社にて、八王子・町田・新百合ヶ丘など多摩地区を中心に約17年間、不動産売買仲介業務に従事。
建築についても学び、建物・土地双方の視点から不動産売却をサポートしています。
【保有資格】宅地建物取引士/二級建築士/2級FP技能士/相続アドバイザー二級/秘書検定2級/既存住宅状況調査技術者