キッチンはIHとガスコンロどちらが良い?
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住宅を購入するときやキッチンをリフォームするとき、「IHクッキングヒーターとガスコンロのどちらが良いのか」で迷う方は少なくありません。
見た目のすっきりしたIHに魅力を感じる方もいれば、炎を見ながら調理できるガスコンロを使い続けたいという方もいます。
結論から申し上げると、IHとガスコンロには明確な優劣があるわけではありません。
安全性、清掃性、調理方法、光熱費、住宅設備、家族構成などを総合的に確認し、自分の生活に合うものを選ぶことが重要です。
IHクッキングヒーターの仕組み
IHは「Induction Heating」の略で、日本語では電磁誘導加熱と呼ばれます。
トッププレートの下にあるコイルへ電流を流し、磁力によって鍋底そのものを発熱させる仕組みです。
ガスコンロのように炎で鍋の周囲を加熱するのではなく、主に鍋底から直接加熱するため、火力の立ち上がりが早く、熱を効率的に鍋へ伝えやすいという特徴があります。
一方で、鍋底の中央部分が強く加熱されやすいため、ガスコンロとまったく同じ感覚で調理すると、焦げ付きや加熱ムラが生じる場合があります。
メーカーも、IHでは鍋底自体が発熱するため、煮物の水分量や火力調整など、ガスコンロとは異なる調理上の工夫が必要になると案内しています。
IHのメリット①掃除がしやすい
IHの代表的なメリットは、トッププレートが平らで掃除しやすいことです。
ガスコンロには五徳、バーナーキャップ、排気口などの凹凸があり、吹きこぼれや油汚れが入り込みやすくなります。
IHは、調理後にトッププレートを拭き取るだけで日常的な清掃を行いやすく、キッチンを清潔に保ちやすい設備です。
共働き世帯や、掃除にかける時間を減らしたい方にとっては、大きなメリットといえるでしょう。
IHのメリット②炎が露出しない
IHは炎を使用しないため、ガスコンロに比べて着衣着火や、周囲に置いた布巾、キッチンペーパーなどへの引火を防ぎやすい特徴があります。
小さな子どもがいる家庭、高齢者が使用する住宅、袖口の広い衣服を着ることが多い方などにとっては、安心材料の一つになります。
ただし、「炎がないから火災が絶対に起きない」というわけではありません。
IHでも、揚げ物油の過熱、少量の油を使用した炒め物、鍋底の変形、誤った調理モードの使用などによって発火するおそれがあります。
日本電機工業会も、揚げ物中はその場を離れず、指定された油量、鍋、調理コースを使用するよう注意を呼びかけています。
IHのメリット③キッチンが暑くなりにくい
ガスコンロは炎の熱が鍋だけでなく、周囲の空気にも伝わります。
IHは鍋底を直接発熱させるため、ガスコンロと比較すると調理中の放熱が少なく、夏場でもキッチンが暑くなりにくい傾向があります。
ただし、調理中には鍋や食材から熱、蒸気、油煙、においが発生するため、IHであっても換気扇は必要です。
「IHなら換気をしなくてもよい」ということではありません。
IHのデメリット①使用できる鍋に制限がある
IHでは、すべての鍋が使用できるわけではありません。
一般的には、鉄、鉄鋳物、ホーロー、一定のステンレス製鍋などが使用できます。
一方で、土鍋、陶磁器、耐熱ガラス、一般的なアルミ鍋や銅鍋などは、通常のIHでは使用できないことがあります。
オールメタル対応のIHであれば使用できる鍋の範囲は広がりますが、鍋底の形状、大きさ、反りなどによっては使用できません。
現在使用している鍋をそのまま使いたい場合は、交換前に必ず適合性を確認する必要があります。
IHのデメリット②停電時には使用できない
IHは電気で作動するため、停電時には使用できません。
オール電化住宅の場合、停電するとコンロだけでなく、給湯設備なども使用できなくなる可能性があります。
災害対策を重視する場合は、カセットコンロや予備のガスボンベを適切に保管しておくなど、別の調理手段も準備しておくと安心です。
IHのデメリット③設置には電気設備の確認が必要
ビルトイン型IHの多くは、一般的な100Vコンセントではなく、200Vの専用回路を使用します。
ガスコンロからIHへ変更する場合は、分電盤からキッチンまで専用配線を引く工事が必要になることがあります。
住宅全体の契約容量が小さい場合は、エアコン、電子レンジ、食器洗い乾燥機、浴室乾燥機などを同時に使用した際に、ブレーカーが落ちやすくなる可能性もあります。
特に築年数が経過した戸建住宅や中古マンションでは、分電盤、幹線容量、専用回路、管理規約などの確認が必要です。
ガスコンロのメリット①炎を見ながら調理できる
ガスコンロは、炎の大きさを目で確認しながら火力を調整できます。
長年ガスコンロを使ってきた方にとっては、直感的に操作しやすく、鍋の温まり方を把握しやすい設備です。
鍋底だけでなく鍋肌にも熱が伝わりやすいため、中華鍋を振る炒め物、炙り調理、焼き網を使用する料理など、炎を生かした調理に向いています。
料理の方法や道具にこだわりがある方は、ガスコンロの方が使いやすいと感じることがあります。
ガスコンロのメリット②調理器具を選びにくい
ガスコンロでは、鉄、ステンレス、アルミ、銅、土鍋、耐熱ガラスなど、幅広い調理器具を使用できます。
もちろん、鍋ごとの使用条件や耐熱性を確認する必要はありますが、IHほど磁性や鍋底形状に左右されにくい点はメリットです。
現在使用している鍋や土鍋を買い替えたくない方にも適しています。
ガスコンロのメリット③停電時にも使える場合がある
乾電池で点火するガスコンロで、ガスの供給が継続していれば、停電時にも使用できる場合があります。
ただし、機種によっては停電時に安全装置や操作部が作動せず、使用できないことがあります。
また、地震や災害時にはガスの供給自体が停止する可能性もあるため、ガスコンロなら必ず使えるとは限りません。
ガスコンロのデメリット①火災や着衣着火への注意が必要
ガスコンロでは炎が露出するため、袖口、布巾、キッチンペーパー、油汚れなどへの引火に注意が必要です。
令和6年版消防白書によると、令和5年中の全国の火災では、「こんろ」が出火原因となった火災が2,838件発生しており、こんろ火災では消し忘れが最も多いとされています。
調理中はその場を離れず、コンロの周囲に燃えやすい物を置かないことが基本です。
最新のガスコンロは安全性が向上している
ガスコンロには火災のリスクがありますが、現在の製品にはさまざまな安全装置が設けられています。
代表的なものが「Siセンサーコンロ」です。
Siセンサーコンロには、調理油の過熱を感知する機能、消し忘れ消火機能、吹きこぼれなどで火が消えた際にガスを止める立ち消え安全装置などが搭載されています。
そのため、「IHは安全、ガスは危険」と単純に区分するのは適切ではありません。
どちらの設備でも、安全機能を過信せず、正しい使用方法を守る必要があります。
光熱費はどちらが安いのか
IHとガスコンロを比較するとき、光熱費だけを見て判断する方もいます。
しかし、実際の負担額は、電気料金、都市ガス料金、LPガス料金、契約プラン、調理時間、使用する火力、太陽光発電の有無などによって変わります。
特にLPガスは、販売事業者や契約内容によって料金差が生じやすいため、単純な比較はできません。
また、コンロが家庭全体のエネルギー消費に占める割合は、一般的に給湯や冷暖房ほど大きくありません。
コンロだけの料金差を細かく比較するより、給湯器、浴室乾燥機、床暖房、ガス衣類乾燥機などを含め、住宅全体の設備構成で考えることが重要です。
オール電化住宅ならIHが有利なのか
エコキュートなどを採用したオール電化住宅では、IHとの相性が良いといえます。
ガスの契約を行わなければ、ガスの基本料金も発生しません。
太陽光発電が設置されている住宅では、昼間に発電した電気を調理へ利用できることもあります。
一方、ガス給湯器、床暖房、浴室乾燥機、ガス衣類乾燥機などを使用している住宅では、コンロだけをIHへ変更しても、ガス契約の基本料金は残ります。
そのため、「コンロをIHにすれば光熱費が必ず安くなる」とは限りません。
不動産購入時に確認したいポイント
中古住宅を購入する際は、現在設置されているコンロだけでなく、将来的な交換のしやすさも確認しておくことが大切です。
IHが設置されている場合は、分電盤の容量、専用回路、契約アンペア、機器の製造年などを確認します。
ガスコンロが設置されている場合は、都市ガスかLPガスか、ガス管の位置、接続方法、コンロの製造年などを確認します。
マンションでは、管理規約や建物全体の電気容量によって、IHへの変更や容量増設が制限される場合があります。
反対に、オール電化マンションでは、新たにガス管を引き込むことが事実上困難な場合があります。
不動産売却価格への影響
IHかガスコンロかという違いだけで、不動産の売却価格が大きく変わることは通常ありません。
ただし、買主の家族構成や生活スタイルによって、設備に対する評価は変わります。
高齢者世帯や小さな子どもがいる家庭ではIHが好まれることがあります。
料理好きの方や、土鍋、中華鍋、直火調理を重視する方にはガスコンロが好まれることがあります。
売却前にコンロを交換する場合は、売主の好みだけで決めず、既存設備との整合性、交換費用、想定する買主層などを踏まえて判断する必要があります。
高額な最新機種へ交換しても、その費用がそのまま売却価格へ上乗せされるとは限りません。
IHが向いている方
IHは、次のような方に向いています。
・掃除のしやすさを重視したい方
・炎の露出をできるだけ避けたい方
・小さな子どもや高齢者と暮らしている方
・夏場のキッチンの暑さを抑えたい方
・オール電化住宅を検討している方
・火力を数値で設定したい方
ガスコンロが向いている方
ガスコンロは、次のような方に向いています。
・炎を見ながら火力調整をしたい方
・中華鍋を振る調理をしたい方
・炙り料理や直火調理を行いたい方
・土鍋やアルミ鍋などを幅広く使いたい方
・既存のガス設備を有効活用したい方
・電気容量の増設工事を避けたい方
Q&A
Q.IHなら火災は起こりませんか?
A.IHでも、油の過熱や誤った鍋の使用などによって火災が発生する可能性があります。
揚げ物中はその場を離れず、指定された鍋、油量、調理モードを使用することが重要です。
Q.ガスコンロは危険ですか?
A.炎を使用する以上、着衣着火や周囲への引火には注意が必要です。
ただし、現在のSiセンサーコンロには、過熱防止、消し忘れ消火、立ち消え安全装置などが搭載され、安全性は向上しています。
Q.ガスコンロからIHへ簡単に交換できますか?
A.住宅によって異なります。
200V専用回路、分電盤容量、配線経路などの確認が必要で、マンションでは管理規約や建物全体の電気容量も確認する必要があります。
Q.IHとガスでは、どちらが家を売りやすいですか?
A.設備だけで売れやすさが決まるわけではありません。
立地、価格、間取り、建物状態などの影響の方が大きく、コンロは買主の好みによって評価が分かれる設備です。
まとめ
掃除のしやすさ、炎を使わない安心感、室内の暑さを抑えやすいことを重視するなら、IHが有力な選択肢です。
調理器具の自由度、炎による直感的な火力調整、鍋振りや炙り料理を重視するなら、ガスコンロが向いています。
重要なのは、設備単体のイメージだけで決めないことです。
電気容量、ガス設備、給湯器、換気設備、交換工事費、家族構成、日常の調理方法まで確認したうえで選ぶ必要があります。
不動産購入やリフォームの際には、「どちらが人気か」ではなく、「その住宅と自分たちの生活にどちらが合っているか」という視点で判断しましょう。
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【本ブログ監修者】

株式会社cocoro不動産 代表取締役
★柴田祐介(しばた ゆうすけ)
1981年生まれ
大手不動産会社にて、八王子・町田・新百合ヶ丘など多摩地区を中心に約17年間、不動産売買仲介業務に従事。
【保有資格】宅地建物取引士/二級建築士/2級FP技能士/相続アドバイザー2級/既存住宅状況調査技術者