狭小住宅の複数棟現場で “1棟だけ購入した家” を売却する時の注意点
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― 民法の「50cmルール」が落とし穴になります ―**
複数棟の狭小住宅(いわゆる“ミニ開発”)は、土地価格が抑えられ、間取りも工夫されているため人気があります。
しかし「複数棟の中の1棟だけを購入し、数年後に売却する」場合には、購入時には気づきにくい大きな注意点があります。
🔍 民法が定める “離れ 50cm(隣地後退義務)” の存在
民法では、
建物を建てる際は、隣地境界線から50cm以上離さなければならない
と定められています(民法234条)。
ただし…
▶ 新築分譲の複数棟現場では「特別なルール」で建てて良いケースが多い
ミニ開発の狭小住宅は、
販売会社・建築会社・事業主同士が協定を結び、
- 境界線ギリギリまで建物を寄せて建築して良い
- お互いに50cm後退しないことを了承する
といった“隣地後退の不適用”を前提に建てられている場合があります。
これは新築分譲時には問題ありません。
同じ事業者同士での合意があるからです。
🏠 しかし、問題は “売却するとき”
狭小住宅の1棟を売却する際、買主側が不安に感じるポイントがあります。
① 自分は50cm離れていないのに、後から建替えができるのか?
買主が建替えたい場合、
民法の50cmルールが適用され、今と同じ位置に建てられない可能性があります。
境界ギリギリに建っている狭小住宅は、建替え時に:
- 今より建物の幅が狭くなる
- 間取りが大きく変わってしまう
- そもそも希望のサイズで建てられない
などの支障が出る可能性があります。
② 隣地とのトラブルリスクが“将来発生する可能性”がある
分譲時に事業者間で合意していても、
将来その隣地に住む人が同じ合意をしているとは限りません。
売却時に買主が心配しやすいポイント:
- 「今は良くても、将来の隣地の所有者にクレームを言われるのでは?」
- 「建替えの時にトラブルになるのでは?」
- 「境界の扱いが不明確ではないか?」
など、心理的な不安が大きなマイナス材料になります。
③ 融資(住宅ローン)に影響する可能性も
金融機関が懸念するケース:
- 将来、建替え困難となり資産価値維持が難しい
- 境界トラブルによる担保評価低下の可能性
特に都心部・狭小地では評価が厳しくなる傾向があります。
📌 売却時にやるべき対策
売却を成功させるためには、以下の準備が非常に重要です。
① 分譲時の “隣地後退の合意書・協定書” を確認する
- 建築確認申請の図面
- 事業者同士の協定書(あれば)
- 境界確定図
- 測量図
これらを揃えるだけで、買主の不安は大幅に軽減します。
② 隣地所有者と関係性が悪くないことを説明できるようにしておく
「今の隣家の方とは良好な関係です」
「トラブルはありません」
こうした一言が、購入検討者の心理的安心につながります。
③ 不動産会社には、狭小地に強い“地元業者”を選ぶ
狭小住宅の売却は、一般的な中古戸建より少々説明事項が多く、
- 境界
- 建築協定
- 建替え可能性
- 囲繞地
- 法律の適用範囲
など専門知識が必須です。
地元で狭小地の取引をよく扱っている専門家に相談することが、
売却成功の一番の近道です。
まとめ
狭小住宅の複数棟現場のうち、
1棟だけ購入した家を売却する際には「民法の50cm後退ルール」が最大の注意点です。
- 新築時は事業者同士の合意でギリギリまで建てられる
- しかし、売却時・建替え時には民法が原則適用される
- 将来の隣地トラブルや建替え制限が発生しやすい
- 買主はここを強く不安視する
- 書類の準備と専門家のサポートが不可欠
狭小住宅の売却は、
“買主の不安をどれだけ軽減できるか” が勝負です。
【本ブログ監修者】

★柴田祐介(しばた ゆうすけ)
1981年生まれ。群馬県出身。大学卒業後、異業種を経て、その後不動産会社で八王子・町田・川崎にて16年間勤務。(在職期間中の2年間で、建築・デザイン専門学校にて認定単位取得後卒業)
【保有資格】宅地建物取引士、二級建築士、2級FP技能士、秘書検定2級、既存住宅状況調査技術者。
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